飲食店の業務効率化や人手不足の対策として、モバイルオーダーの導入が進んでいます。
しかし、その一方で課題となるのが、高齢者への配慮です。
モバイルオーダーはすべてのお客さまがスムーズに使えるとは限らず、とくに高齢者にとっては、スマートフォン操作の難しさが課題となっています。このような背景の中でモバイルオーダーを導入すると、使いにくさが原因で注文機会の損失や顧客離れにつながる可能性があります。
幅広い年齢層のお客さまに、モバイルオーダーを快適に利用してもらうためにも、高齢者がつまずきやすいポイントや配慮すべき点について事前に確認しておきましょう。
高齢者がモバイルオーダーを敬遠する3つの理由

モバイルオーダーを導入する際にまず押さえておきたいのは、高齢者がなぜ使いにくいと感じるのかという点です。その理由は以下の点があります。
- スマートフォンの操作に不慣れ
- モバイルオーダーのUI・UXのわかりにくさ
- 心理的ハードル(対面文化の影響)
それぞれ詳しく解説していきます。
スマートフォンの操作に不慣れ
モバイル社会研究所の調査では、シニア世代のスマートフォン所有率は年々高くなり、多くの方が端末自体は持っていることがわかっています。
一方で、「使いこなせているか」という点では課題が残ります。以下のデータをご覧ください。
| 年代 | スマートフォン所有率 | 使いこなせていない割合 |
|---|---|---|
| 60代 | 95% | 約40% |
| 70代 | 86% | 約60% |
| 80代前半 | 69% | 約70% |
参考:スマホの所有率はさらに上昇し60代は95%、70代は86%、80代前半でも69%(2026年3月23日)|モバイル社会研究所
このように、所有率は高い一方で、スマートフォンの操作に対して不安を感じている方が多いことがわかります。
モバイルオーダーのUI・UXのわかりにくさ
モバイルオーダーが高齢者に敬遠される要因に、UI・UX(画面の見た目や操作の使いやすさ)のわかりにくさがあります。
スマートフォンの操作に慣れていないうえに、画面構成や操作手順が複雑だと、どこを押せばよいか判断しづらく、操作ミスや不安につながるためです。
具体的には、以下のような点が課題になりやすいといえます。
| 項目 | よくある問題 | 高齢者への影響 |
|---|---|---|
| メニュー構造 | ページがいくつも分かれている | どこを押せばよいかわからない |
| ボタン配置 | 注文ボタンがわかりにくい | 操作ミスや不安につながる |
| 文字サイズ | 小さくて読みづらい | 内容が把握しにくい |
| 画面遷移 | ページが頻繁に切り替わる | 操作の流れがわからなくなる |
このように、高齢者はモバイルオーダーに対して複数のハードルを感じやすいため、操作の直感性が利用率や顧客満足度に大きく影響します。
心理的ハードル(対面文化の影響)
モバイルオーダーが高齢者に受け入れられにくい理由として、操作面だけでなく心理的な要因も大きく関係しています。
これまで飲食店では、対面で注文することが当たり前とされてきました。料理の提供や空間と同じように、注文時のやり取りもサービスの一つとして捉えられているためです。こうした背景から、モバイルオーダーによって対面でのやり取りが減ると、サービスの一部が省略されたように感じられ、違和感を持つ人もいます。
さらに、実際のデータからも心理的なハードルが確認されています。ホットペッパーグルメ外食総研の調査では、セルフオーダーを利用したくない理由として、「機器の操作に慣れるまでが大変だから」と回答した60代女性は24%となっています。
このように、操作への不安や従来の対面サービスとの違いが重なることで、モバイルオーダーの利用自体を避ける要因になっています。
参考:外食店利用時の注文ツールの利用実態・意向調査|株式会社リクルート

高齢者がモバイルオーダーを利用できない場合の課題

モバイルオーダーは業務効率を高める一方で、高齢者に配慮しない状態のまま導入すると、店舗側に以下のような課題が生じます。
- 注文機会の損失と売上低下
- 接客応対の負担増加
- 来店頻度の低下や顧客離れ
- オペレーションの混乱
それぞれ詳しく解説していきます。
注文機会の損失と売上低下
モバイルオーダーが高齢者に浸透しない場合、売上に大きな影響を及ぼす可能性があります。
注文操作に不安があるとお客さまは追加注文を控える傾向があり、特にランチ帯では、「本来は追加されるはずの注文」が減るためです。
たとえば、以下のようなケースを見てみましょう。
| 内容 | 通常(対面注文) | モバイルオーダー利用(使いにくい場合) |
|---|---|---|
| ランチ | 1200円 | 1200円 |
| ドリンク追加 | +200円 | なし |
| デザート | +500円 | なし |
| 合計 | 1900円 | 1200円 |
この場合、1人あたり700円の差が生まれます。
これが1日20人分発生すると、700円 × 20人=14,000円の売上差となります。このように、モバイルオーダーの使いにくさは実際の数字として売上に影響します。さらに、高齢者のお客さまは「迷うくらいなら頼まない」という選択をしやすい傾向があり、結果として単価の低下につながります。
接客応対の負担増加
モバイルオーダーは本来、注文業務を減らし、スタッフの負担を軽減するためのシステムとして取り入れられていますが、高齢者が使いにくい状態では、かえって現場の負担が増えてしまいます。
実際の現場では、次のような対応が増えやすくなります。
- 操作がわからず、使い方を説明する
- 注文ができず、代わりに入力する
- 注文できているか不安で、内容を一緒に確認する
このような対応は、1回あたり数分でも、ピークタイムでは大きな負担になります。
たとえばランチタイムに10組のお客さま対応が重なると、それだけでスタッフの動きが制限されます。その結果、本来対応すべき配膳や会計が遅れ、全体のサービス品質に影響が出る可能性があります。
また、スタッフごとに対応の仕方が異なると、お客さまへの案内にもばらつきが生まれます。これが不満やクレームの原因になることもあります。
来店頻度の低下や顧客離れ
モバイルオーダーが使いにくいと感じた場合、お客さまの来店頻度に影響が出る可能性があります。一度でも不便さを感じると、他店舗への乗り換えを検討される要因となります。
実際に、リピート来店は飲食店の売上に大きく影響します。ぐるなびの調査では、この半年で複数回外食したお店があると回答した人は76.9%にのぼり、新型コロナウイルスの影響があった2022年の70.0%から6.9ポイント増加しています。
さらに、リピートの理由として最も多かったのは
- 食べたい料理がある(49.4%)
- そのお店のメニューがまた食べたくなった(40.3%)
つまり、飲食店ではメニューの魅力と再注文のしやすさが、来店頻度を左右する重要な要素となります。ここで、モバイルオーダーの使いやすさが大きく関係します。
- 前回と同じメニューをすぐに見つけられる
- 注文操作に迷わない
- ストレスなく追加注文ができる
このような環境であれば、「次もこれを食べたい」という気持ちが自然に生まれます。
一方で、注文のたびに操作に迷うと、注文する行為自体がストレスになり、来店意欲を下げる原因になります。特に高齢者のお客さまは、使い慣れた店舗を継続して利用する傾向があります。
そのため、一度使いにくいと感じると、来店頻度の低下や顧客離れにつながる可能性があります。
ユーザー調査「外食でのリピート行動」 がより活発に!決め手の1位は”食べたい料理”|ぐるなびPRO
オペレーションの混乱
モバイルオーダーは業務効率化を目的とした仕組みですが、高齢者が使えない状態では、現場のオペレーションがかえって複雑になります。
特に問題となるのが、注文方法が複数混在する状況です。モバイルオーダーと口頭注文が同時に発生すると、管理が難しくなります。
代表的な混乱の例は以下の通りです。
| 状況 | 現場で起きる問題 | 影響 |
|---|---|---|
| モバイル注文と口頭注文が混在 | 注文の管理がわかりにくくなる | 提供ミスが増える |
| 操作サポートが必要な客が多い | スタッフの動きが分かれる | 配膳が遅れる |
| 注文確認が増える | 同じ対応を何度も行う | 作業効率が下がる |
このような状態になると、スタッフの動きに無駄が生まれます。本来スムーズに回るはずの現場が、細かな対応に時間を取られてしまいます。
また、注文方法が増えることで、情報の行き違いも起こりやすくなります。その結果、提供ミスや確認漏れにつながる可能性があります。

高齢者に配慮したモバイルオーダーの工夫とは

モバイルオーダーは工夫次第で、高齢者にも使いやすい仕組みにすることができます。
まず重要なのは、高齢者にとってわかりやすさが安心感につながるという点です。エミーオの70代以上の男女を対象に実施した「入ってみたいと感じる飲食店の外観で重要なポイント」に関する調査では、「メニューや価格帯が明確で入りやすい店舗」を重視する割合は、男性の65.3%、女性51.3%となっています。
つまり、事前に内容や料金が明確であることが、利用可否の判断に影響しているといえます。同様に、モバイルオーダーにおいても、商品や価格、注文手順が画面上で直感的に把握できることが重要です。
では、高齢者にとってわかりやすいモバイルオーダーとはどのようなものか、ここから具体的に見ていきましょう。
文字やボタンを大きくして見やすくする
高齢者は、視力の変化により細かい文字が見づらい場合があります。
そのため、画面設計の段階で見やすさを意識することが重要です。
見やすさを高めるポイントは、次の通りです。
- 文字サイズを大きくする
- ボタンを大きくして押しやすくする
- 色のコントラストをはっきりさせる
このような工夫により、どこを押せばよいかが直感的にわかるようになります。
また、スマホだけでなくタブレットが使えると画面が大きくなり見やすさにもつながります。
操作手順をシンプルにして迷いを減らす
次に重要なのが、操作の流れをできるだけシンプルにすることです。手順が多いほど、途中で迷いやすくなります。
理想は、少ない手順で注文が完了することです。たとえば、以下のように整理できます。
- メニューを選ぶ
- 数量を決める
- 注文を確定する
このように、やることが明確でシンプルな流れにすることで、迷いが減ります。
また、一画面に表示する情報を絞ることも重要です。情報が多すぎると判断が難しくなり、操作を途中でやめてしまう原因になります。
紙メニューや口頭注文の併用
モバイルオーダーを導入する際は、すべてをデジタルに切り替えるのではなく、従来の注文方法(紙メニュー・口頭注文)と併用することが重要です。
すべてのお客さまが、モバイルオーダーを同じように使えるとは限らず、操作に不慣れな方もいるためです。
特に高齢者にとっては、従来の注文方法があるだけで安心しやすくなります。
具体的には、次のような運用が有効です。
- 紙メニューをテーブルに設置する
- 口頭での注文も受け付ける
- タブレット注文など別の選択肢を用意する
このように選べる環境を整えることで、注文できないという状況を防ぐことができます。
無理に使ってもらうのではなく、お客さまに合わせた対応を用意しておくことが大切です。
スタッフによる操作方法のサポート
最後に重要なのが、スタッフによるサポート体制です。最初の不安を解消できるかどうかで、その後の利用につながるかが決まります。
たとえば、次のような対応が効果的です。
-
- 最初の操作を一緒に行う
- 簡単な説明を事前に伝える
- 困っているお客さまに気づいて声をかける
こうしたサポートがあることで、安心して利用できる環境が整います。
一度使い方を理解すると、次回からは自分で操作できる方も多くなります。モバイルオーダーはシステムだけでなく、人の対応と組み合わせて考えることが重要です。
高齢者でも安心して使えるモバイルオーダーは『スマセル』

スマセルは、高齢者が感じやすい「操作の不安」や「見づらさ」といった課題に対応しやすい仕組みになっています。
まず大きな特徴は、アプリのダウンロードが不要であることです。
QRコードを読み取るだけで注文画面が開くため、余計な操作がなく、初めての方でも使いやすくなっています。
さらに、スマセルはスマートフォンだけでなく、タブレットでの運用にも対応しています。 画面が大きくなることで文字が見やすくなり、高齢者でも安心して操作しやすい環境をつくることができます。
また、専用機器が不要な点も大きなメリットです。タブレットがあれば、スマートフォンを持っていないお客さまにも案内することができます。このように、スマセルは状況に応じて柔軟に運用できるようになっています。
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- アプリ不要で誰でもすぐに使える
- タブレット対応で見やすい画面を提供できる
- 専用機器不要で幅広いお客さまに対応できる
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つまり、スマセルは「使える人だけが使うシステム」ではなく、すべてのお客さまに対応できる環境を整えやすいサービスです。モバイルオーダーを導入する際は、機能の多さだけでなく、現場での使いやすさを基準に選ぶことが重要です。
まとめ
モバイルオーダーは、飲食店の効率化や人手不足の解消に役立つ一方で、高齢者への配慮が不足すると、売上低下や顧客離れにつながる可能性があります。
操作の不安や画面のわかりにくさといった課題は、次のような工夫で改善できます。
-
-
- 見やすい画面設計にする
- 操作手順をシンプルにする
- 紙メニューや口頭注文を併用する
- スタッフのサポート体制を整える
-
モバイルオーダーは導入することが目的ではなく、誰でも使いやすい状態をつくることが重要です。
もし、導入を検討している、または現在の運用に課題を感じている場合は、一度運用方法を見直してみてください。高齢者にも配慮した設計ができる「スマセル」であれば、現場に負担をかけずに改善を進めることができます。
まずは、自店舗に合う運用ができるかどうかを確認し、無理のない形で取り入れていきましょう。
