飲食店の客単価はどうやって上げる?6つの方法と支援システムを紹介

セルフオーダーシステム

原材料費や人件費の高騰が続く中、飲食店の経営は厳しさを増しています。

人件費の削減や仕入れコストの見直しなど、可能な限りの経費削減を行っても、もはや削るべきところが見つからないという状況に直面している経営者も少なくありません。

そんな中、持続可能な収益改善の解決策として重要になるのが、客単価の向上です。

しかし、単純に価格を上げれば客離れのリスクがあり、具体的にどのような手法で客単価を向上させればよいのか分からないというケースが多く見られます。

ここでは、飲食業における客単価の基本知識と計算方法から、6つの客単価アップ施策、さらにPOSシステムやセルフオーダーなどの支援ツールの活用法について解説します。

客単価の基本知識と計算方法

客単価は、飲食店経営において収益構造の把握から投資判断まで、幅広い経営戦略を決める上で欠かせない指標です。
売上を「客数×客単価」で分解して分析することで、メニュー開発や価格設定、サービス改善への投資効果が測定できるため、戦略の方向性を数字で判断できるようになります。
まずは客単価の基本的な計算方法を正しく理解し、数字をどのように経営改善に活かすかを具体的に見ていきましょう。

客単価の正しい計算方法と見方

客単価は以下の計算式で求められます。

客単価 = 売上 ÷ 来店客数

1日の売上が10万円で、来店客数が100人だった場合の客単価は「1,000円」です。客単価は、メニューの価格設定や接客による提案、時間帯・曜日による客層の違いといった要素で日々変動しています。
例えば、高単価メニューや追加注文が多い場合は、客単価が上がる傾向があり、反対に下がる場合は、低価格メニューへの偏りや単品注文の増加といった理由が考えられます。
売上が同じ日であったとしても、客単価を把握することで中身が異なるため、売上だけでは判断ができない深いところまで分析ができるのです。
また、客単価の変化を追うことで、新しいメニューの導入効果、時間帯による客層の違い、販促物の効果といった施策の効果も具体的に見えてきます。

業界ごとの客単価の違い

同じ飲食店でも、業態によって客単価が大きく異なります。
2023年の業界調査によると、ファストフードの平均客単価は964円、居酒屋では3,942円です。
参考:外食市場調査|株式会社リクルート
近い業種の客単価を参考にすることで、自店の業態や地域、ターゲット層に合わせた現実的な客単価目標を設定することが、経営判断の質を高める重要なポイントとなります。

客単価アップが利益に直結する理由

原価率30%の飲食店において、客単価が100円向上した場合、そのうちの70円がほぼそのまま粗利として残ります。これが1日100人に適用されると、1日で7,000円、月間で21万円以上の利益です。

顧客数の増加やリピート率の向上など、売上を上げる方法はいくつもありますが、客単価アップは「少ない労力で大きな利益を生み出す」効果があります。

また、客単価アップは必ずしも価格が変わるわけではないので、お客様の負担が変わることなく、満足度を向上させることができます。

客単価を上げる6つの実践方法

飲食店がすぐに取り組める実践的かつ効果的な客単価アップの方法を6つ紹介します。

  • メニュー構成を見直して注文単価を底上げする
  • 適正価格を設定する
  • アップセル・クロスセルで追加注文を促す
  • SNS・口コミを活用した集客マーケティングを行う
  • マーケティングで客単価を向上させる
  • 居心地の良い空間づくりで滞在時間を延ばす
  • インバウンド需要を取り込む

詳しく解説していきます。

メニュー構成を見直して注文単価を底上げする

客単価の向上に効果的なのが、メニューの構成や見せ方の工夫です。
例えば、メニュー表の中で、高単価商品を人気メニューの隣に配置すると、お客様は「せっかくなら少し良いものを…」と比較しながら選びやすくなります。さらに、トッピングの追加提案や、サイドメニューの目立たせ方も有効です。
「何をいくらで出すか」よりも、「どう見せて、どう選ばせるか」を工夫することで、1人あたりの注文金額を自然に底上げしてくれます。
しかし、単なる誘導だけでは限界があります。そこで有効なのが、価格帯の「均一化」戦略です。以下はその一例です。

カテゴリー 改定前 改定後
お刺身 900円 700円
揚げ物 700円 700円
炒め物 600円 650円
サラダ 500円 650円

上記のように各カテゴリーを同じくらいの値段に統一すると、「どれを選んでも同じくらい」という心理的な安心感が生まれ、注文されやすくなります。
特に、「高い刺身を選んだからもう一品は控えよう」といった心理的なブレーキを外す効果があるため、注文数の増加が期待できます。
結果として、これまで客単価@2,000円+α(例:料理2品+ドリンク2杯)だったお客様が、料理3品+ドリンク2杯で@2,500円以上になることも考えられます。
さらに、3杯目のドリンクを割引するなどのサービスを加えれば、@3,000円超えも十分に狙える設計です。
このような戦略を「売上重視の値付け」と捉えるのではなく、「お客様に迷わせない、選びやすい価格設計」として提示すれば、顧客満足を保ちながら、利益率の高いメニュー構成が実現できます。

適正価格の設定

原材料費や人件費の高騰が続いている昨今、多くの飲食店が値上げによる客離れをおそれて、コストの増加分を価格に転嫁せずに吸収している状態です。
しかし、いくら客単価が上がっても、原価率が高ければ利益は見込めません。そのため、客単価の底上げには、理由と根拠を明確にした戦略的な価格見直しが不可欠です。

価格設定で大切なのが、単なる値上げではなく、手間をかけた特製ダレや旬の食材など、価格に見合う理由を示すことが必要です。例えば、「国産黒毛和牛使用」「3日間煮込んだ特製スープ」「朝獲れ直送の鮮魚」「職人が手打ちした麺」といった具体的な価値を伝えることです。
お客様は価格そのものよりも、値上げの理由が分からないことに不安を感じます。「なぜこの価格なのか」という価値が明確に伝われば、お客様に納得してもらえるでしょう。
実際に、「少し高いけれど美味しい」「他にない味」という印象を与える店は、客単価が上がり、リピーターも増加する傾向があります。単価上昇によって売上に余裕が生まれ、サービスや空間への再投資が可能になり、店の魅力がさらに高まるという好循環が生まれます。

アップセル・クロスセルで追加注文を促す

アップセルとは、同じカテゴリ内でワンランク上の商品を提案することです。例えば「生ビール → クラフトビール」「並盛 → 大盛」などが典型です。
一方クロスセルは、別ジャンルの商品を組み合わせて提案することを言います。「唐揚げにハイボール」「お刺身に日本酒」といった組み合わせなどが該当します。アップセル・クロスセルは、ただの売り込みではなく、もっと満足してもらうための提案という視点が重要です。

ポイントは、スタッフの習慣化とタイミングです。注文を受けた後、調理に入る前の間にさりげなく「この一品にはこちらのお酒が合いますよ」と勧めることで、食事の満足度も上がり、自然な追加注文につながります。
また、レジ横の手書きPOPや、メニューに「おすすめセット」「迷ったらこれ!」といったコメントを添えるだけでも、お客様の選択を後押しする心理効果があります。
複数人グループに対しては、「皆さまでシェアされますか?」という声かけが効果的です。誰か1人に勧めるのではなく、全員に提案することで抵抗感が減り自然に追加注文へとつながります。

アップセルやクロスセルは、小さな工夫の積み重ねですが、1回あたり数百円の違いが、月間では数十万円の売上差になる可能性があります。飲食店にとって、最も手間がかからず、最も効果的な単価アップ手法のひとつです。

SNS・口コミを活用した集客マーケティングを行う

SNSや口コミを効果的に活用することで、価格よりも価値を重視する高単価な層を呼び込むことができます。
事前に情報を調べて足を運ぶお客様は、価格よりも体験や価値を重視する傾向があり、特別なメニューやおすすめ料理を積極的に注文する可能性が高くなるためです。
例えば、「せっかく来たから評判の料理を試してみよう」「話題のデザートも注文してみよう」という心理が働き、自然と客単価の向上につながります。
COLLINS株式会社の調査によると、飲食店を知るきっかけとして最も多かったのは「Instagram(71.1%)」。続いて、「家族・友人からの口コミ(49.2%)」、「グルメサイト(41.5%)」、「Google Map(37.2%)」と続きます。

さらに重要なのが、ネット予約対応の有無です。同調査によれば、飲食店の予約について「ネットで予約したい」と答えた人は実に77.7%です。これは「予約がオンラインでできない=顧客を取り逃がす可能性が高い」ということです。
参考:「飲食店の選び方」についてのアンケート|COLLINS株式会社

そのため、SNSや口コミは、見せるだけのものではなく、予約や来店につなげる動線として設計することが求められます。Instagramのプロフィールに予約リンクを貼る、Googleビジネスプロフィールを充実させてネット予約と連携させるといった工夫が、客単価アップに直結します。

居心地の良い空間づくりで滞在時間を延ばす

滞在時間の延長は、自然な追加注文を促し、客単価アップに直結する重要な要素です。
お客様が「もう少しここにいたい」と感じる空間づくりができれば、ドリンクやデザート、追加のフードなど、自然とオーダーの数も増える傾向があります。
例えば、落ち着いた照明、ゆったりとしたテーブル配置、心地よい音量のBGMなどが整っていれば、食事のあとも会話を楽しみたい、もう一品頼んで余韻を楽しみたいという気持ちにつながります。
また、店内の温度・湿度管理や清潔なトイレ、丁寧な接客対応も、滞在時間の延長に大きく影響します。

空間コンセプトを明確にすることも効果的です。「大人が静かに過ごせる和の空間」「ペア利用が映えるおしゃれな内装」「仕事終わりに一人で落ち着ける隠れ家風」など、来店目的と体験が一致した空間は、価格に対する納得感を生み出し、高単価メニューも選ばれやすくなります。
つまり、商品やサービスの質だけでなく、「過ごし方」まで設計された空間づくりが、結果として客単価アップにつながるのです。

インバウンド需要を取り込む

外国人観光客の取り込みは、飲食店の客単価を大幅に押し上げる有効な戦略です。
観光庁によれば、訪日観光客の食事への出費は1人あたり平均約7,000〜9,000円となっており、日本人の一般的な外食よりも1.5〜2倍近い客単価です。
参考:インバウンド消費動向調査|観光庁
つまり、外国人客を受け入れる体制を整えるだけで、来店1回ごとの売上が大幅に上がる可能性があるということです。しかし、ただ「受け入れる」だけでは不十分です。「安心して注文できる仕組み」と「伝わるメニュー設計」が不可欠です。

例えば、飲食店においては以下のような取り組みが求められます。

  • 英語・中国語など多言語に対応したメニューの用意
  • 料理の写真と説明が明確に掲載されているメニュー
  • ベジタリアンや宗教的配慮(ハラール等)に対応した表記
  • QRコードでスマホから注文できる多言語対応のセルフオーダーシステム

上記の対応があるだけで、「何をどう頼めばよいのか分からない」という不安が解消され、単価の高い料理やセットの注文にもつながります。

また、訪日観光客は「旅行中はちょっと贅沢をしたい」「その土地の名物を味わいたい」と考える人が多く、高価格帯の特別メニューや地酒、コース料理が自然と選ばれる傾向にあります。
SNS発信にも意欲的なため、「日本旅行中に食べた絶品料理」としてシェアされた写真や動画が、さらなる集客・高単価層の流入を生むという好循環も期待できます。
客単価アップ=高額メニューを売ることではなく、価値ある体験を用意することです。インバウンド対応はその好例であり、売上だけでなく、国際的なブランディング強化にもつながる戦略的な取り組みと言えます。
スマセル

客単価アップを支援するシステム・ツール

客単価アップを確実に実現するには、「感覚の経営」から「数字に基づいた戦略的な経営」への転換が不可欠です。「なんとなく売上が上がった・下がった」では、どの施策が効果的だったのか、何を改善すべきなのかが見えないためです。

しかし、日常業務に追われる中で、売上データの詳細な把握や分析を行うのは簡単ではありません。そこで有効なのが、システム・ツールの活用です。適切なシステムを導入することで、複雑な売上分析や顧客動向の把握を自動化し、経営判断に必要な情報を効率的に収集できるようになります。

ここでは、飲食店の客単価アップを支援するシステム・ツールを紹介します。

売上分析ができるPOSシステム

POSシステムは、レジ機能だけでなく、「いつ・どの商品が・どれだけ売れたか」を一目で把握できる分析機能を持ったシステムです。POSシステムを活用することで、「売れている商品」「利益が残る商品」「売上が落ちている時間帯」などが具体的に見えてきます。

例えば「平日の夜は揚げ物が人気」「週末はお酒の注文が多い」「ランチの単品注文が目立つ」といった傾向を把握できれば、時間帯に合わせたセットメニューの提案やおすすめ商品の見せ方を工夫できます。

また、「高単価商品の注文数が下がっている」「客単価が曜日によってばらつく」といった課題が数字で確認できるため、具体的な施策を打ちやすくなります。

原価や粗利を把握できるPOSシステムであれば、「よく売れているけど利益が出ない商品」を見直すことができ、売れるだけでなく、儲かるメニューづくりが可能になります。

追加注文を促すセルフオーダーシステム

セルフオーダーシステムとは、お客様がテーブルに設置されたタブレットやQRコードを読み取ったスマートフォンから、自分で注文できるシステムです。

セルフオーダーシステムの最大のメリットは、お客様がスタッフを呼ぶ必要がないことです。特に忙しい時間帯では、追加注文をしたくてもスタッフがつかまらず、お客様が諦めてしまうことがあります。しかし、セルフオーダーシステムであれば、お客様が都合の良いタイミングで追加注文できるため、売上機会を逃すことがありません。

また、セルフオーダーシステムの機能の中で、特に客単価アップに効果的なのが「おかわり機能」です。おかわり機能は、一度注文した商品をワンタップで再注文できる機能で、ビールやサワー、サイドメニューなど、繰り返し注文されやすい品目との相性が抜群です。

従来は、お客様が「もう一杯、さっきと同じものを」と思っても、メニューの中から再度探す必要がありました。しかし、おかわり機能があれば「探すのが面倒だからもうやめておこう…」という心理的なブレーキを解消できます。

結果として、お客様はストレスなく「同じものをもう一つ」とオーダーでき、自然な形で追加注文=客単価の上昇へとつながります。

適切な在庫管理ができる発注システム

発注システムは、商品の在庫状況を自動的に管理し、適切なタイミングでの発注をサポートするシステムです。
発注システムの導入によって材料の在庫切れがなくなれば、注文ストップによる機会損失を防げます。特に、お刺身の盛り合わせや限定メニュー、こだわりのドリンクなど、単価が高い商品ほど品切れは大きな痛手になりますが、在庫管理が自動化されることでリスクを抑えられます。
また、材料も必要な分だけ仕入れることができるので、ムダな食材が出にくく、ロスも減らせます。適切な在庫管理システムの導入は、品切れによる機会損失を防ぎ、客単価アップに直結します。

客単価アップの強い味方「スマセル」

「スマセル」は、QRコードをスマートフォンで読み取るだけで、お客様が自分のスマホから簡単に注文できるセルフオーダーシステムです。
アプリのインストールや会員登録がないので、使い方もとてもシンプルです。お客様は、注文のたびに店員さんを呼ぶ必要がなくなるため、ストレスなく食事を楽しめます。
「スマセル」が飲食店の客単価アップに強い味方となる理由は、大きく3つあります。

1. 追加注文が圧倒的にしやすくなる

スマセルは、お客様が追加注文や別メニューの注文を希望する場合、スマートフォンから簡単に注文できるため、注文機会を逃すことなく追加オーダーを受けることができます。
従来の飲食店では、忙しい時間帯にスタッフがつかまらず、「注文したいのに声をかけられない」「待っているうちに諦めてしまう」というケースが少なくありません。
しかし「スマセル」なら、お客様が使い慣れた自分のスマホを使って、好きなタイミングで追加注文できます。特に「おかわり機能」により、一度注文したメニューをワンタップで素早く再注文できるため、ビールやドリンクの追加注文が格段にしやすくなります。

2. おすすめ商品の提案ができる

「スマセル」の画面上には、おすすめ商品や期間限定メニューなどを写真つきで目立たせて表示できます。お客様が「つい注文してしまう」きっかけをつくることができ、高単価メニューやセット商品の提案もしやすくなります。

3. 外国人のお客様にも対応しやすい

スマセルは、多言語機能により、英語・中国語・韓国語などでメニュー表示ができるため、言葉の壁を感じずに注文してもらえます。
訪日観光客への対応は飲食店にとって重要な課題ですが、「スマセル」は直感的な操作で写真を見ながら注文できるため、安心して利用できます。
また、メニューの写真も豊富に掲載されているため、料理の内容が一目で理解でき、注文時の不安を解消できます。

まとめ

飲食店の経営では、新規客の獲得も大切ですが、安定した運営を目指すなら客単価アップも重要な要素となります。
本記事では、客単価アップの基本から、実際に使える6つの具体的な方法、さらにPOSやセルフオーダーなどの支援システムまで幅広くご紹介しました。
改めて、客単価を上げるためのポイントを整理すると以下のようになります。

  • メニュー構成の工夫で選ばれ方を変える
  • 価格は「高くする」ではなく「納得してもらう」が大前提
  • スタッフの声かけ+仕掛け(アップセル・クロスセル)を活用
  • SNSや口コミの力を活かして「来店理由」と「単価」を両立
  • 空間設計や体験の質が自然な追加注文を生む
  • インバウンドやリピーター向けの導線を整える
  • システム・ツールで「売れる仕組み」を整える

特に、追加注文の機会損失を防ぎ、お客様の満足度を高めながら客単価向上を実現したい場合は、「スマセル」のようなセルフオーダーシステムの導入も有効な選択肢です。
QRコードを読み取るだけの簡単操作で、お客様が好きなタイミングで注文でき、多言語機能によりインバウンド客にも対応できます。デジタルツールを活用した客単価アップの仕組みづくりを検討してみてはいかがでしょうか。

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