飲食店の経費削減はどこから?効果的な施策8選とNG項目の基準
飲食店では、売上は維持できていても、経費の割合が高いために利益が伸びないケースが多く見られます。
しかし、飲食店の経費は種類が多く計算も複雑なため、削減しようにもどこから手を付ければいいのか判断しにくいのが実情です。
経費をやみくもに削れば、衛生管理・品質・労務トラブルなど、かえって損失を招く場合もあります。そのため、「削ってはいけない経費」と「見直し可能な経費」を切り分けることが欠かせません。
無駄なコストだけを的確に減らすためにも、各経費項目の役割と重要度を確認しておきましょう。
飲食店の経費削減におけるNG項目の基準

経費を削減する場合、衛生・安全・労務・リスク対応に関わる支出まで切り込んでしまうと、かえって損失を拡大させる可能性があります。
そのため、以下の経費については必要以上の削減をせず、必要な水準を維持することが重要です。
- 法令で義務化された衛生管理と点検にかかる経費
- 日常衛生業務と設備保守にかかる費用
- 労務コストと食材安全基準の品質確保にかかる費用
- 事故対応とクレーム処理の予備費
それぞれ詳しく解説していきます。
法令で義務化された衛生管理と点検にかかる経費
飲食店における衛生管理は、2021年6月施行の改正食品衛生法により、HACCP(ハサップ)に基づく管理が全ての飲食店で義務化されました。
これは店舗の規模を問わず、衛生管理計画の策定・実施・記録・検証を継続的に行うことを求める制度です。
営業者が実施すべき基本事項として、厚生労働省は次の4点を明示しています。
- 「一般的な衛生管理」及び「HACCPに沿った衛生管理」に基づき、衛生管理計画を作成し、従業員へ周知徹底すること。
- 清掃・洗浄・消毒や食品の取扱いなど、必要に応じて具体的な手順書を作成すること。
- 衛生管理の実施状況を記録し、一定期間保存すること。
- 計画や手順書の効果を定期的に検証し、工程変更時などに見直すこと。
これらは努力義務ではなく、すべての営業者に課せられた法的義務です。したがって、厨房機器や冷蔵庫の温度管理、害虫防除、排水管清掃、点検業者の契約費用などの削減は慎重に検討しましょう。
日常衛生業務と設備保守にかかる費用
厨房やホールの清掃・消毒に欠かせない洗剤、アルコール、使い捨てクロス類は、衛生維持コストとして削ってはいけない項目です。
清掃・消毒などの消耗品を削減すれば、油汚れや細菌の残留により食中毒や異物混入のリスクが高まります。衛生状態が悪化すれば、スタッフの体調不良や労務トラブルにもつながるため、短期の節約が長期の損失に直結する可能性があります。
また、飲食店は油煙や蒸気により、空調・換気・冷機設備に大きな負荷がかかりやすい環境です。とくに換気扇フィルターやグリスフィルターの清掃や交換を怠ると、吸気効率の低下による電気代の上昇、モーターの過熱、故障といったトラブルが起きやすくなります。一度機器が故障すると、高額な修理費が発生するだけでなく、場合によっては営業停止につながることもあります。
そのため、日常的な清掃・消毒の品質を維持しつつ、設備の点検・フィルター交換の頻度や手順を仕組み化することが重要です。具体的には、衛生用品やフィルター類の使用量を記録して適正量を把握したり、設備ごとの清掃サイクルをルール化することで、無駄な支出を抑えながらトラブルを未然に防ぐ管理体制を整えられます。
労務コストと食材安全基準の品質確保にかかる費用
労務コストと食材の安全基準に関わる経費の削減は、飲食店において慎重な判断が求められます。
労働基準法に基づく残業・深夜・休日の法定割増賃金は、削減すべき項目ではなく、適正に管理する必要があります。無理な人員削減はヒューマンエラーや接客品質の低下を招き、結果として売上減や離職増につながりやすいためです。特に従業員の健康診断、労災保険、雇用保険といった社会保険費は、事故や労務トラブルへの備えとして不可欠で、削るほどリスクが高まります。
また、仕入先についても、価格だけを基準に変更すると、食材の品質が安定しなくなり、結果としてクレームにつながる可能性があります。そのため、仕入先を選ぶ際は、品質保証書や検査結果を必ず確認しておくことが重要です。
事故対応とクレーム処理の予備費
飲食店では、どれだけ注意を払っていても、食中毒や異物混入、設備故障などの突発的なトラブルが発生する可能性を完全に排除することは難しいです。
だからこそ、不測の事態に備える予備費の確保は、削減してはいけない重要な経費のひとつです。また、厨房機器の故障、漏電、火災、水漏れといった設備トラブルも、予備費を削ると深刻な影響が出ます。修繕費や保険の免責額をまかなえなければ、営業再開までに時間がかかり、予約キャンセルや顧客離れにつながります。
特にSNSの普及により、風評被害への迅速な初期対応も欠かせません。広報調整、顧客への謝礼、お詫びに伴う対応費などはスピードが命で、対応が遅れるほど炎上リスクが高まります。現実的な目安としては、年間売上の1〜2%を予備費として損益計画に組み込む方法が一般的です。この程度の水準であれば、店舗の負担も過度にならず、突発的なトラブルにも柔軟に対応できます。

飲食店の経費削減を実現する具体的な8つの施策

ここからは、食材ロス・光熱費・人件費・設備運用・仕入れ単価など、日々の業務に直接関わるコストを効率化するための8つの実践策を紹介します。
すぐに取り組める内容なので、自店の状況に当てはめて活用できます。
需要予測による発注・仕込みの最適化でロスを削減
食材ロスは、飲食店の中でも特に削減効果が大きい項目です。
仕入れや仕込みの量を勘で判断している店舗もありますが、ロスを確実に減らすには、過去の売上データや天気、予約状況などを照らし合わせながら、来店数の傾向を読み取ることが欠かせません。まずは直近数か月のデータから「曜日別・時間帯別にどれだけ動くか」を確認し、そこに天候や地域イベントの影響を加えることで、仕込み量の精度が自然と高まります。
さらに、冷凍保存や真空パックなど長期保存できる方法を上手に活用することも有効です。仕込んだ食材を少し長く保てるようにしておけば、急な来店数の変化にも柔軟に対応でき、フードロス削減につながります。勘ではなく、データを基にした発注と仕込みをすることにより、品質を落とさずコストだけを抑えることができるでしょう。
共同購買とロット集約で仕入単価を引き下げ
仕入れ単価を下げる方法として効果が分かりやすいのが、共同購買とロット集約です。
共同購買は、近隣の店舗や仲間の飲食店と同じ商品をまとめて発注する方法で、注文量が増える分、仕入れ先と価格交渉がしやすくなります。米・油・調味料・紙類など、毎日使う品は特に単価が下がりやすい傾向があります。
また、ロット集約は、自店の仕入れをまとめ買いに切り替える方法です。
例えば、週3回仕入れている食材を週1回にまとめるだけでも、配送費や単価が下がるケースがあります。また、複数のメニューで同じ食材を使うようにすれば、自然に発注量が増え、より良い条件で仕入れられます。
仕入れは品質に直結するため、「安いものに変える」のではなく、同じ品質をより良い条件で買う工夫が大切です。
基本食材の統一とメニュー間の共有で在庫管理を効率化
飲食店では、メニューごとに使う食材が増えるほど、在庫管理が複雑になり、食材の廃棄が出やすくなります。
そのため、できるだけ同じ食材をいくつかのメニューで共通して使えるようにすることがポイントです。例えば、同じ野菜や肉を調理方法だけ変えて別メニューに使ったり、ひとつのソースをアレンジして複数の料理に使ったりすると、在庫がシンプルになり、無駄が出にくくなります。
また、発注量が安定し、場合によっては仕入れ単価が下がることもあります。メニュー数を適度に絞ることで保管場所の余裕が生まれ、棚卸しや在庫チェックがしやすくなる点も大きなメリットです。
厨房作業の無駄な動きを減らして生産性を向上
厨房の動線が複雑だったり、道具や食材の配置がばらついていると、調理のたびに無駄な移動や探し物が発生します。
まずは、よく使う調理器具や食材を「取りやすい位置」にまとめ、動く回数を減らすことが大切です。作業台のレイアウトを少し変えるだけでも、スタッフがスムーズに動けるようになり、作業時間が短縮されます。
また、仕込みから提供までの手順を見直し、手戻りや2度手間がないか確認することも効果的です。作業工程を標準化しておくと、新人スタッフでも同じように動けるため、調理ミスの減少にもつながります。
効率の良い厨房は、結果として提供スピードが上がり、ピークタイムでも安定した営業ができるようになります。
決済方法と会員特典の再設計で固定費を圧縮
キャッシュレス決済の利用が増える一方で、店舗側が負担する手数料は見過ごせない固定費となります。
とくに複数の決済サービスを採用している店舗では、利用頻度の低い決済手段が無駄なコストになっている場合もあります。まずは、現在導入している決済手段の利用状況を確認し、ほとんど使われていないものは停止するなど整理することが効果的です。
月額料金が発生する決済端末やサービスは、契約内容を見直すだけで負担が軽くなることがあります。
また、会員特典やポイント制度の見直しも重要です。
割引やポイント付与を広く行うと利益を圧迫しやすいため、LINE登録者に限定してクーポンを配信するなど、対象を絞るだけでコストを減らしながらリピート率を高めることができます。
ピーク時間外の設備運用で光熱費を削減
飲食店の光熱費は、設備の使い方を少し見直すだけでも大きく変わります。
例えば、営業前の仕込みや準備時間に本当に必要な設備だけを動かすことで、光熱費の削減につながります。特に厨房機器は消費電力が大きいため、すべてを同時に稼働させるのではなく、使用する順番に合わせて段階的に立ち上げることが有効です。
また、ピークが過ぎた時間帯は、火力を落としたり、不要な設備をできるだけ早く停止することで、ガスと電気の両方を節約できます。冷蔵庫や冷凍庫は設定温度を見直すだけでも電気代に差が出るため、メーカーの推奨温度を確認しておくことも大切です。
家賃・共益費の再交渉と営業時間の調整でコストを圧縮
家賃や共益費は、契約内容を見直したり、管理会社・オーナーと交渉することで、負担を抑えられる場合があります。長く同じ物件に入っている店舗ほど、周辺相場とズレが生じているケースも少なくありません。
近隣の賃料相場や同規模物件の条件を調べ、自店の家賃が適正かどうかを確認します。設備トラブルや修繕履歴、空室状況などを共有しながら、家賃の調整や共益費の見直しを相談すると、話し合いが進みやすくなります。
また、営業時間の調整も経費削減に有効です。特に、来店がほとんどない時間帯を短縮したり、曜日ごとに営業体制を変えることで、人件費と光熱費の両方を抑えられます。
柔軟なシフト管理とセルフ運用で人件費を最適化
人件費は飲食店の経費の中でも大きな割合を占めるため、無理のない範囲で最適化することが重要です。とくに、来店の波に合わせてシフトを細かく調整するだけでも、人件費の過剰な発生を防ぎやすくなります。
まず、曜日・時間帯・天候によって来店数の差が大きい店舗では、ピークに合わせた人員配置が効果的です。来客が少ない時間帯を短縮したり、仕込み作業を混雑時間からずらすことで、必要な人数を抑えつつスムーズに回せるようになります。
また、セルフサービスを部分的に取り入れる方法もあります。水やカトラリーをセルフ化したり、テーブル上のQR注文を活用するだけでも、スタッフの移動や対応の負担が軽くなり、少人数でも安定した営業が可能になります。
スタッフは調理補助や接客の質向上に集中しやすくなり、全体の効率が上がるのも大きなメリットです。
スマセルで飲食店の経費削減と人手不足解消を同時に実現

飲食業界では、人件費の高騰と人手不足が深刻化し、日々の業務を圧迫しやすい状況が続いています。
こうした負担を軽減しながら売上を伸ばすための手段として有効なのが「スマセル」です。
スマセルは、来店されたお客様が自身のスマートフォンでQRコードを読み取り、そのまま注文から決済までいける飲食店向けのセルフオーダーシステムです。
注文から会計までの一連の流れを自動化することで、スタッフが対応する業務量が大幅に減り、教育や採用にかかるコストも縮小できます。
また、会計も自動計算されるため、レジ作業にかかる時間を削減でき、限られた人数で対応できるため人件費の削減につながります。ポイント付与やクーポン発行などの販促機能とも連動しているため、来店頻度の高いお客さまを自然と増やし、リピートにつながる仕組みをつくれます。
顧客情報をデータとして管理できる点も、スマセルを導入する大きな利点です。
一人ひとりの来店履歴や注文傾向をもとに、ダイレクトメールやメール配信を行うことで、来店タイミングを逃さず、無駄のないアプローチが可能になります。人手を増やさずに販促を自動化できるため、現場の負担を増やさず売上向上に結びつけられる点は、多くの店舗にとって大きな魅力といえるでしょう。
まとめ
飲食店の経費削減は、単なる節約ではなく、店舗の安全性や品質を守りながら効率よく運営するための取り組みです。
衛生管理や設備保守、人材にかかる費用など、削ってはいけない項目を正しく理解することで、リスクを増やさずに利益確保へつなげることができます。一方で、仕込みや発注の見直し、設備の運用方法、人件費の最適化など、日々の業務に組み込める改善策は数多くあります。
数字を活用した在庫管理や、時間帯に合わせた運用の調整は、特に効果が表れやすい分野です。そして、スマセルのようなセルフオーダーシステムを活用すれば、注文と会計の作業が自動化され、限られた人員でも安定した店舗運営が可能になります。
無駄なコストを抑えながら、業務に集中できる点は、これからの飲食店にとって大きな強みとなります。利益をしっかり残すためには、必要な支出と見直すべき支出を正しく判断することが欠かせません。まずは、小さなところから始めてみてください。
