QRコード注文は、注文業務の効率化や人手不足への対応策として、多くの飲食店で採用が進んでいます。
スタッフがオーダーを取りに回る必要がなく、少人数でも店舗運営を回しやすくなる点は、大きなメリットといえるでしょう。
一方で、スマートフォンを持っていない、あるいは操作に不安があるお客さまへの対応をどうするかが、QRコード注文を安定して運用するうえで避けて通れないポイントです。
QRコード注文を単なる省人化ツールとして導入するのではなく、想定外のケースも含めて運用を設計できているかどうかが、現場の混乱を防ぎ、顧客満足度を維持する分かれ目になります。
QRコード注文を安定して運用するためにも、スマ-トフォンが使えないお客さまへの対応方法について確認しておきましょう。
飲食店で使われるQRコード注文の仕組み

QRコード注文は、飲食店のテーブルやカウンターに設置されたQRコードをお客さまのスマートフォンで読み取り、表示されるオンラインメニューから直接注文を送信します。
注文内容はそのままキッチンやPOSと連携できるため、スタッフが直接オーダーを聞き取ったり、各テーブルにタブレット端末を設置したりする必要がありません。QRコードを活用した注文方法が注目されている理由には、店舗側が端末を大量に用意する必要がなく初期費用や管理コストを大幅に抑えられること、そして多くの人がスマートフォンを所有していることがあります。
実際、スマートフォンの普及は着実に進んでいます。総務省が公表している令和7年版 情報通信白書によると、インターネット接続端末としてのスマートフォン利用率は、2011年の16.2%から2024年には74.4%まで上昇しています。
出典:「令和7年版 情報通信白書」|総務省
スマートフォンは日常生活に欠かせない存在になりつつあり、今後も普及率は高まっていく可能性が高いです。こうした流れを踏まえると、QRコード注文は今後も飲食店で採用される場面が増えていくと考えられます。
操作はお客さまのスマホで行うのが基本
QRコード注文では、注文操作を行うのはスタッフではなく、お客さま自身になります。
テーブルやカウンターに設置されたQRコードをスマートフォンで読み取り、メニューの選択や数量指定、追加注文までをお客さまが操作するのが基本的な流れです。この仕組みでは、スタッフの注文対応の手間を減らせる一方で、操作の主導権がお客さま側にあるという点を理解しておく必要があります。
そのため、お客さまがスマートフォンの操作に慣れていない場合や、端末を持っていない場合には、注文が止まりやすくなるという側面もあります。
QRコード注文をスムーズに運用するには、「スマートフォンで操作できる人が多い」ことだけでなく、操作につまずいたときにどうフォローするかまでを含めて考えておくことが重要です。
QRコード注文はスマホがないとどうなる?

QRコード注文を導入している店舗で、スマートフォンを持っていない、または使えないお客さまが来店した場合、現場ではさまざまな影響が出やすくなります。
具体的には、次のような点が挙げられます。
- 問い合わせ・口頭注文の増加で業務が乱れる
- 一部の客層が使いづらさを感じ、離れてしまう
- 対応への不満からクレームが増えることがある
それぞれ詳しく解説していきます。
問い合わせ・口頭注文の増加で業務が乱れる
QRコード注文を前提とした店舗では、基本的にスタッフがオーダーを取りに回ることはありません。
そのため、スマートフォンを使えないお客さまが来店すると、スタッフを呼び止めて注文方法を確認したり、直接注文の対応を求められる場面が増えます。
特にピークタイムでは、一部のお客さまへの個別対応が全体の流れに影響を及ぼしやすく、スタッフの負担が一時的に集中しやすくなります。結果として、現場が慌ただしくなり、業務全体に余裕がなくなるケースも見られます。
一部の客層が使いづらさを感じ、離れてしまう
QRコード注文はスマートフォンの普及を前提とした仕組みですが、「スマ-トフォンを持っていること」と「使いこなせていること」には差があります。この点を理解していないと、意図せず一部の客層に使いづらさを感じさせてしまう可能性があります。
NTTドコモが2024年1月に実施した訪問留置法による調査によると、シニア層においてもスマートフォンの所有率は高まっています。
【スマートフォン所有率】
- 60代・・・91%
- 70代・・・83%
- 80代・・・62%
一方で、同調査では「スマホをどれくらい使いこなせていると感じているか」についても分析されています。結果は以下のとおりです。
【「あまり使いこなせていない」「使いこなせていない」と回答した方】
- 60代・・・約40%
- 70代・・・約60%
- 80代・・・約70%
一部の年齢層では、スマートフォンを所有していても、操作に不安を感じている人が多いことが分かります。その場ではスタッフのサポートによって注文できたとしても、「使いづらい」「落ち着かない」といった印象が残ると、次回の来店を控えてしまうことがあります。
QRコード注文そのものではなく、自分には合わないと感じることが、来店頻度の低下につながるケースも考えられます。
対応への不満からクレームが増えることがある
QRコード注文を前提とした運用では、スマ-トフォンが使えないお客さまへの対応が後回しになりやすい傾向があります。
注文方法が分からず困っていても、周囲のスタッフが忙しそうにしていると声をかけにくく、そのまま待たされてしまうケースもあるでしょう。
こうした状況が続くと、「聞きづらい」「放置されている」と感じさせてしまうことになります。注文が通るまでに時間がかかったり、対応がその場しのぎになったりすると、不満が積み重なりやすくなります。特に、スマートフォンの操作に不安を感じているお客さまほど、自分のせいで手間をかけさせているのではないかと気を遣う傾向があります。その結果、すぐには不満を口に出さず、会計時や退店時にまとめて不満が表に出るケースも見られます。
クレームの多くは、QRコード注文に対するものではなく、使えない場合の案内が分かりにくいことや、代替手段が用意されていないことが原因になっている場合もあります。対応方法が明確でない状態は、店舗側・お客さま双方にとって負担になりやすい点といえるでしょう。

QRコード注文で「スマホがない」ときの対処法

QRコード注文は、来店客が自身のスマートフォンを用いて注文を行う仕組みですが、スマートフォンを所持していない、または操作が難しいお客さまが来店するケースも想定されます。
そのような場合に備え、対応方法を事前に整理し、運用ルールとして定めておくことで、現場での混乱や業務負荷の増加を抑えることが可能です。
ここでは、特に重要な3つの対応ポイントについて解説します。
スタッフが注文を聞き取り、店舗側の端末で入力する
スマ-トフォンを持っていない、または操作が難しいお客さまへの対応として、もっとも現実的なのが、スタッフが口頭で注文を聞き取り、店舗側の端末で入力する方法です。
スタッフが注文を受ければ、お客さまは従来と同じ感覚で注文できるため、戸惑いや不安を感じにくくなります。また、特別な設備を追加する必要がなく、現在使用しているPOSや管理画面をそのまま活用できる点もメリットです。
ただし、対応の仕方がスタッフごとに異なると、現場で迷いが生じやすくなります。そのため、「スマートフォンが使えない場合はスタッフが入力する」といった対応ルールを、あらかじめ決めておくことが重要です。ピークタイムなどで負担が一部のスタッフに偏らないよう、対応の流れや声かけの仕方を共有しておくことで、業務の混乱を防ぎやすくなります。
メリット
- スマートフォンを持っていないお客さまでも通常どおり注文できる
- 新たな設備を用意する必要がなく、すぐに対応できる
- 高齢者や操作が苦手なお客さまに安心感を与えやすい
- 店舗側で注文内容を直接入力するため、内容確認がしやすい
デメリット
- 対応が発生するとスタッフの手が取られやすい
- 混雑時には対応が遅れ、他の業務に影響が出やすい
- 対応方法が統一されていないと、現場で迷いが生じやすい
- 注文対応が一部のスタッフに偏る可能性がある
店舗備え付けの端末を貸し出す
スマートフォンを持っていないお客さまへの対応として、店舗側で用意した端末を貸し出す方法もあります。タブレットやスマートフォンを数台だけ準備し、必要な場合に注文用として使ってもらう形です。
この方法では、注文の流れ自体はQRコード注文と変わらないため、システムを切り替える必要がありません。お客さま自身が画面を見ながら注文できるため、内容の確認もしやすく、スタッフが付き添う時間を減らしやすい点が特徴です。
一方で、端末の管理には一定の配慮が必要になります。充電切れや故障、紛失を防ぐため、貸し出し場所や返却方法を決めておくことが欠かせません。使用後の清掃や消毒についても、あらかじめルールを設けておくと安心です。
また、すべてのお客さまに貸し出すのではなく、「スマートフォンがない場合のみ利用できる」といった形で運用を限定することで、端末の回転や管理などの負担を抑えやすくなります。
メリット
- オーダーの流れをQRコード注文に統一できる
- スタッフが付き添わなくても注文してもらいやすい
- お客さま自身が画面で内容を確認でき、オーダーミスが起こりにくい
デメリット
- 端末の購入や管理にコストと手間がかかる
- 充電切れや故障、紛失などのリスクがある
- 清掃・消毒などの運用ルールを決める必要がある
- 繁忙時に端末が足りなくなる可能性がある
紙メニュー+手書き伝票で注文を受ける
QRコード注文を導入した飲食店において、スマートフォンを持たないお客さまや操作に不慣れなお客さまへの対応として、紙のメニューと手書き伝票を併用する方法が効果的です。
特に高齢者や初めて来店されるお客さまにとっては、従来の注文方法が残っているという安心感があり、デジタル操作が不要なため、戸惑うことなくスムーズに注文できます。ただし、この対応には、紙で受けた注文内容を後から端末に入力する必要がありスタッフの作業負担は増加してしまいます。
すべてのお客さま、すべての時間帯で紙対応を行うのではなく、混雑状況や客層に応じて使い分けることで、QRコード注文と従来の注文方法を無理なく両立させることが可能になります。
メリット
- スマートフォンを持っていない、操作が苦手なお客さまでも迷わず注文できる
- 高齢者や初来店のお客さまに安心感を与えやすい
- 特別な機器やシステムを追加せずに対応できる
- クレームや不満につながりやすい場面を減らせる
デメリット
- 手書き伝票の内容を後から端末に入力する手間が発生する
- 入力漏れや聞き間違いなどのミスが起こりやすい
- 繁忙時間帯に対応が重なるとスタッフの負担が増えやすい
- QRコード注文との二重運用になり、ルールが曖昧だと現場が混乱しやすい
スマホ事情に配慮したQRコード注文ならスマセル

スマセルは、QRコード注文を基本としながらも、スマートフォンが使えないケースを想定した運用がしやすい点が特徴のシステムです。
すべてのお客さまに同じ操作を求めるのではなく、店舗側の判断で柔軟に対応できるシステムになっています。
① スマホ・タブレットの両方に対応している
スマセルは、お客さまのスマートフォンだけでなく、店舗側が用意したタブレット端末からの注文にも対応しています。QRコードを読み取って操作する仕組みは同じになるため、端末が変わっても注文方法を分ける必要がありません。
そのため、スマートフォンを持っていないお客さまには店舗備え付けの端末を案内し、持っているお客さまにはQRコード注文を利用してもらう、といった使い分けが可能です。
② スタッフによる代理注文がしやすい
スマセルでは、スタッフがタブレットから直接注文を入力できます。
そのため、スマートフォンの操作が難しいお客さまに対しては、口頭で注文を聞き取り、店舗側で入力する運用方法を無理なく採用できます。QRコード注文と代理入力を併用しても、注文データは同じシステム上で管理されるため、厨房や会計処理が複雑になることはありません。
③ 注文方法を分けても管理が一本化できる
スマートフォン注文、タブレット注文、スタッフ入力といった複数の対応を行っても、注文情報はすべて一つの管理画面に集約されます。注文経路が異なっても、厨房やレジ側では同じ流れで確認できる点が特徴です。
これにより、「この注文はどこから来たのか分からない」といった混乱が起こりにくくなります。
まとめ
QRコード注文は、飲食店の業務効率を高める一方で、「スマートフォンがない」「操作が難しい」と感じるお客さまが一定数存在することも前提に考える必要があります。
スマートフォンの普及率が高まっている現在でも、使いこなせているかどうかには個人差があり、そこに配慮がないと現場の混乱や不満につながりやすくなります。
特に、スマートフォンを使えないお客さまが来店した際の対応をその場判断に任せてしまうと、スタッフの負担が増えたり、対応のばらつきが生じたりする原因になります。そのため、「スマートフォンがない場合はどう対応するか」というルールを、あらかじめ決めておくことが重要です。
QRコード注文を導入する際は、効率化だけでなく、どのようなお客さまでも安心して注文できるかという視点を持つことが大切です。
スマートフォンがないケースを想定した準備をしておくことで、トラブルを防ぎ、より多くのお客さまに選ばれる店舗づくりにつながります。
