近年は、飲食店でもデジタル化が進み、予約管理や売上管理のシステム化やモバイルオーダーなどの仕組みが広く使われるようになっています。
デジタル化によって業務の利便性が高まる一方で、課題となるのが個人情報の取り扱いです。個人情報は、管理が不十分なまま扱われると、お客様のプライバシーが侵害されたり、不利益につながったりするおそれがあります。
こうしたリスクが高まったことを背景に、事業者が守るべき責任や対応を明確にする目的で、2022年には個人情報保護法が改正されました。改正後は、幅広い事業者が対象となり、小さなお店であっても、個人情報の扱いには慎重な対応が求められています。
携帯電話番号やメールアドレスなど、かつては気軽に扱われていた情報についても、現在は適切な管理が前提となり、対応を誤れば罰則の対象となる可能性があります。
個人情報の取り扱いは、QRコード注文も例外ではありません。
QRコード注文は手軽に利用できる仕組みですが、設定や使い方によっては、注文履歴や利用ログなど、個人情報に該当するデータを取得できてしまう場合があります。
適切な管理ができなければ、金銭的な損失だけでなく、信用を失うことになりかねないため、QRコード注文で取得できる個人情報の内容や、その取り扱いについて確認しておきましょう。
飲食店が気をつけるべき個人情報の取り扱い

飲食店の従業員が気を付けるべき個人情報は多岐にわたります。
具体的には以下のとおりです。
- お客様の個人情報
- 注文内容
- 来店履歴
- 会話の内容
- 写真、動画など
上記は、お客様のプライバシーに関わる内容なので、第三者に漏えいしないように注意する必要があります。
法律に基づいて適切に取り扱う必要がある
2022年4月1日に施行された個人情報保護法の改正では、事業者には個人情報の管理体制の整備に加えて、利用者に対する説明(通知・公表)や、事故発生時の対応まで含めた責任がより明確に求められるようになりました。
飲食店においては、予約管理やモバイルオーダー、会員管理など、日常業務の中で個人情報を扱う場面が多いため、こうした責任を前提とした運用が特に重要になります。
漏えい等報告義務の強化
個人情報が外部に流出した、または流出した可能性がある場合には、個人情報保護委員会への報告と、影響を受ける本人への通知が義務化されました。
飲食店であっても、システムトラブルや誤操作などによって情報が漏えいした場合、速やかな把握と対応が求められます。
利用目的のより厳密な明示
個人情報を取得する際には、「何のために利用するのか」を曖昧にせず、利用者が理解できる形で明確に示す必要があります。
注文受付のためなのか、問い合わせ対応のためなのかなど、実際の利用内容とズレが生じないよう注意が必要です。
安全管理措置の強化
個人情報を安全に管理するため、データの保管方法やアクセス権限の設定、外部サービスの選定基準など、店舗側の管理体制がより厳しく問われるようになりました。
誰がどの情報にアクセスできるのかを整理し、不要な権限を与えない運用が重要です。
第三者提供の透明性向上
外部システムや委託先が関わる場合には、個人情報がどこに渡る可能性があるのかを、利用者が把握しやすい形で示す必要があります。
QRコード注文や予約システムなど、複数のサービスを連携している場合は特に注意が必要です。
従業員教育の義務化レベルの強化
誤操作や確認不足による情報漏えいを防ぐためには、現場スタッフへの教育も重要なポイントとなります。
操作ルールや注意点を共有し、誰が対応しても同じ水準で個人情報を扱える体制を整えることが求められます。
個人情報の漏えいは社会的な問題になりかねない
来店したお客様の連絡先や注文履歴は、日常生活に深く関わるものです。
こうしたデータが外部に漏えいすると、プライバシーが損なわれるだけでなく、店舗の信頼低下につながり、社会的な問題へと発展するおそれがあります。デジタル化が進む現在では、情報が短時間で広く拡散するため、一度の漏えいが大きな影響をもたらすことがあります。
また、情報漏えいは、悪意のある外部攻撃だけでなく、業務上の不注意や誤操作によって発生するケースが多いことも特徴です。
IPA(情報処理推進機構)が発表している「情報セキュリティ10大脅威」では、企業や組織における情報漏えいの多くが、外部からの高度な攻撃だけでなく、日常業務の中で起こる人的ミスや内部要因によって発生していることが指摘されています。
| 順位 | 「組織」向け脅威 | 初選出年 | 10大脅威での取り扱い (2016年以降) |
|---|---|---|---|
| 1 | ランサム攻撃による被害 | 2016年 | 10年連続10回目 |
| 2 | サプライチェーンや委託先を狙った攻撃 | 2019年 | 7年連続7回目 |
| 3 | システムの脆弱性を突いた攻撃 | 2016年 | 5年連続8回目 |
| 4 | 内部不正による情報漏えい等 | 2016年 | 10年連続10回目 |
| 5 | 機密情報等を狙った標的型攻撃 | 2016年 | 10年連続10回目 |
| 6 | リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃 | 2021年 | 5年連続5回目 |
| 7 | 地政学的リスクに起因するサイバー攻撃 | 2025年 | 初選出 |
| 8 | 分散型サービス妨害攻撃(DDoS攻撃) | 2016年 | 5年ぶり6回目 |
| 9 | ビジネスメール詐欺 | 2018年 | 8年連続8回目 |
| 10 | 不注意による情報漏えい等 | 2016年 | 7年連続8回目 |
引用:情報セキュリティ10大脅威|IPA(情報処理推進機構)
飲食店は、日々多くのお客様が出入りし、スタッフが限られた人数で業務を行う環境にあります。そのため、操作端末の扱い方やデータへのアクセス権限、基本的な管理ルールが整っていないと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
普段の運用で注意点を共有し、トラブル発生時に迅速に対応できる体制を整えておくことが、お客様の安心と店舗の信頼を守ることにつながります。

QRコード注文で取得される可能性がある個人情報

QRコード注文は、テーブルや店内に設置されたQRコードをお客様自身のスマートフォンで読み取り、表示されたメニュー画面から直接注文できる仕組みです。
店舗側は、注文受付やオーダー入力の手間を減らせるだけでなく、システムを通じて注文内容や利用状況などのデータが自動的に記録されます。
こうしたQRコード注文の仕組みの中で、取得される可能性がある個人情報は以下のとおりです。
- 会員登録やLINE連携時に追加で取得されるお客様情報
- 注文・アクセスデータから取得される「利用ログ・行動データ」
QRコード注文は、サービスによって取得される情報の範囲が変わります。どのような個人情報が取得され得るのかをあらかじめ把握しておくことが、適切な管理やトラブル防止につながります。
会員登録やLINE連携時に追加で取得されるお客様情報
QRコード注文システムの中には、注文の前に「会員登録」や「LINEとの連携」を求めるものがあります。この方式では、注文に必要な情報に加えて、次のようなお客様情報が取得される場合があります。
- 名前
- 電話番号
- メールアドレス
- LINEアカウントに紐づくユーザーID
- プロフィール情報(一部のシステムで連携)
こうした情報は、お客様個人を特定できるため、取り扱いには十分な注意が必要です。「どの情報を、どの目的で受け取るのか」を店舗側が把握しておくことが、安全な運用につながります。
追加情報を取得することで、顧客管理や再来店促進に役立つ場面もありますが、必要以上の情報を求めるとお客様に不安を与えてしまいます。
会員登録やLINE連携を利用する場合は、本当に必要な情報だけに絞ることが大切です。
注文・アクセスデータから取得される「利用ログ・行動データ」
QRコード注文では、会員登録をしない場合でも、アクセスした端末の動きや注文内容など、さまざまなデータが自動的に記録されます。
このようなデータは直接名前が分かるものではありませんが、お客様の利用傾向を読み取るため、個人情報に準じて慎重に扱う必要があります。
QRコード注文システムで集まる代表的なデータには、次のようなものがあります。
- QRコードを読み取った端末情報(識別IDなど)
- アクセス日時や滞在時間の傾向
- 注文内容や注文のタイミング
- どのページをどれくらい見たかといった閲覧データ
これらのデータは、店舗にとっては混雑状況の把握やメニュー改善に役立ちます。
しかし、便利だからといって長期間保存し続けたり、アクセス権限を曖昧にしたままにしておくと、情報漏えいのリスクが高まります。

QRコード注文における個人情報の漏えい対策

QRコード注文を安心して利用するためにできる対策を3つ取り上げて解説します。
- QRコード注文で取得する情報を必要最小限に絞る
- 個人情報にアクセスできる担当者を限定する
- 注文データや顧客情報の保存期間と削除ルールを決めておく
それぞれ詳しく解説していきます。
QRコード注文で取得する情報を必要最小限に絞る
個人情報の漏えいを防ぐために最も効果的なのは、そもそも「不要な情報を集めないこと」です。
会員登録やLINE連携を必須にすると、お客様の名前や連絡先といったデータが増え、それだけ管理すべき範囲も広がります。店舗運営に直接必要のない情報まで取得してしまうと、リスクは自然と高くなります。
まず見直したいのは、QRコード注文に本当に必要なデータがどれだけあるのかという点です。例えば、店内利用のみであれば、名前や電話番号がなくても注文は成立します。追加情報が不要であれば、入力項目を減らすことで、お客様の安心感も高まり、店舗の管理負担も大きく減ります。
取得する情報を最小限に絞ることは、システム選びにも関わります。会員登録が前提のサービスよりも、「登録不要で注文できるタイプ」を選ぶことで、そもそもの取得データをおさえることができます。
個人情報にアクセスできる担当者を限定する
情報漏えいは「誤操作」や「権限管理不足」から発生する可能性もあります。
データを扱う担当者を明確にし、必要な人だけがアクセスできる仕組みを整えることで、リスクは大幅に減らせます。
アクセス権限を設定する際は、次のポイントを意識すると効果的です。
- 役職や担当業務ごとに、閲覧できる情報を分ける
- 管理者パスワードは共有せず、個々のアカウントでログインする
- 過去の従業員アカウントは早めに削除する
- 店舗用タブレットの持ち出しを禁止し、利用範囲を明確にする
QRコード注文のシステムには、アクセス権限を細かく設定できるものもあります。導入前に、店舗の運用に合わせてカスタマイズできるか確認することが大切です。
注文データや顧客情報の保存期間と削除ルールを決めておく
データを長期間保管すればするほど、漏えいリスクは高まります。保存期間を決めて定期的に削除することが、安全管理の基本となります。
保存期間を決める際には、店舗の運営目的と照らし合わせることが大切です。例えば、売上管理のために必要な期間だけデータを残し、それ以外は削除するというルールが考えられます。
注文履歴やアクセスログについても同様で、スタッフが迷わないように「いつ・誰が・どのデータを削除するのか」を決めておくと運用が安定します。
また、削除作業を手動に頼りすぎると、どうしても漏れが出てしまいます。自動削除機能を備えたQRコード注文システムを選ぶことで、安全性が高まり、スタッフの負担も軽くなります。
個人情報に配慮したQRコード注文ならスマセル

個人情報の取り扱いに不安を感じるお店にとって、一番安心なのは「お客様の情報をできるだけ集めないこと」です。
特に、個人情報の入力をほとんど必要としない「スマセル」は、お客様にも店舗にも負担が少なく、導入しやすいQRコード注文システムです。
さらに、スマホを持っていない方や、個人のスマホを使いたくない方でも安心できるよう、お店がタブレットを1台用意すれば、同じシステムをそのままタブレットでも利用できます。
画面が見やすく、操作も簡単なため、スマホに慣れていないお客様でも迷わずに注文することが可能です。
会員登録やLINE連携をせずに運用できる
スマセルの大きな魅力は、お客様の操作が少なくすぐに注文できるシンプルな仕組みにあります。QRコードを読み取るだけでメニュー画面が開くため、アプリのダウンロードやパスワード入力といった面倒な手順は一切必要ありません。
お客様は、次のような流れで注文できます。
スマセルの利用手順
- お客様自身のスマホでテーブル上のQRコードを読み取る
- すぐにメニュー画面が表示される
- 食べたい商品を選んで注文
- 追加注文も「おかわり機能」から素早く注文可能
またスマセルは、スマホが苦手な方にも使いやすいように画面がシンプルに作られており、操作に不安があるお客様でも分かりやすく利用できます。お店でタブレットを使う場合は、画面が大きく表示されるため、席に着いたままゆっくり選びたいお客様にも便利です。
スマホよりも操作がしやすいため、ご年配の方や、画面が小さいと見づらいと感じる方にも喜ばれています。
スマセルでは登録は不要ですが、必要に応じてお店のLINE公式アカウントとつなげることもできます。
ただし、注文をするためにLINE連携が必要になるわけではありません。あくまで、お客様が「追加してみたい」と思った場合にのみ、選択できる仕組みになっています。
メニュー画面からそのまま友だち追加ができるため、クーポンやお知らせを受け取りたいお客様には便利です。
一方で、LINEを使わなくても注文は問題なく行えるので、個人情報が過剰に残る心配もありません。
まとめ
QRコード注文は、注文のしやすさや業務の効率化につながる便利な仕組みですが、その一方で「お客様の情報をどう扱うか」という点は避けて通れません。
まずは基本的なルールを知り、どんな情報がどのように扱われるのかを理解しておくことが、お店にとってもお客様にとっても安心につながります。
この記事では、飲食店が気をつけたい個人情報の取り扱いのポイントや、QRコード注文で収集される可能性のある情報を整理しました。データを必要以上に残さないこと、アクセスできる人を絞ること、保存期間を決めておくことなど、日々の運用で意識できる対策も多くあります。
また、個人情報に不安を感じる店舗にとって、システム選びはとても重要です。スマセルのように、会員登録を求めない、LINE連携は希望者だけが選べる、余計な情報を扱わないなど、安心して導入できるサービスを選ぶことで、リスクを最小限におさえることができます。
スマホが苦手な方にも使いやすく、タブレットにも対応しているので、幅広いお客様が安心して利用できます。QRコード注文を取り入れる目的は、作業の効率化だけではありません。お客様が気持ちよく過ごせる環境を整えることが、結果的にサービスの質や店舗の評価につながります。
