飲食店のインバウンド対策とは?取り組みと失敗を防ぐポイントを解説

インバウンド

訪日観光客の増加によってインバウンド市場が拡大傾向にある昨今、飲食業界も影響を受け、大きな盛り上がりを見せています。

そのため、新しい顧客層の獲得に向けてインバウンド対策を検討する飲食店が増えています。インバウンド需要による売上増加の実現には、訪日観光客に選ばれるための適切な対策が必要不可欠です。では、インバウンド対策にはどのようなものがあるのでしょうか。

この記事では、インバウンド需要による飲食業界の変化と具体的なインバウンド対策、実践的な集客方法、そして失敗を防ぐためのポイントについて詳しく解説します。

インバウンド需要で変化する飲食業界

日本政府観光局の調査によると、2024年の訪日観光客は年間360万人を超え過去最多でした。

参考:訪日来客数(2024年12月および年間推計値)|日本政府観光局

特に、訪日観光客の多くが日本の食文化を体験することに高い関心を示しています。そこで、飲食店が訪日観光客の受け入れ態勢を整えれば、新たな顧客層が獲得でき、売上の向上が期待できます。

インバウンド需要への対応は、飲食店の経営にどのような効果をもたらすのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

訪日観光客の来店が顧客単価を押し上げる

観光庁の調査では、訪日観光客1人あたりの旅行中の飲食費が2024年では48,962円となっており、2019年の34,740円と比べて約1.4倍に増えています。

参考:【インバウンド消費動向調査】2024年暦年の調査結果(速報)の概要|観光庁

飲食費が増加した背景にあるのが円安による物価の割安感です。

訪日観光客にとって日本の食事がより手の届きやすい価格になったことで、より質の高い食事を楽しめるようになっています。

そのため、せっかく日本に来たから「日本で本場の寿司やラーメンを味わいたい」「ちょっと高くても、ここでしか食べられないものを楽しみたい」といった傾向が強くなっていることが考えられます。

このような背景から、訪日観光客は日本人客と比較して客単価が高い傾向があります。そのため、訪日観光客を迎え入れる準備を整えれば、客単価アップにつながる可能性が高くなるのです。

訪日観光客は店舗を選んでいる

訪日観光客は事前に情報収集を行い、SNSやGoogleマップのレビューを見て、インバウンド対策が整っている店舗を選んで訪れる傾向が強くなっています。そのため、訪日観光客からの良い評価や口コミを集めることで新たな集客につながり売上アップが期待できます。
一方で、インバウンド対策をしていない店舗は、「言葉が通じない」「メニューが分かりにくい」といった口コミが広がり、訪日観光客から敬遠されてしまうリスクがあります。
そのため、インバウンド需要の高まりを売上につなげるには、適切な対応が欠かせません。

インバウンド対策に向けた飲食店の取り組み

飲食店が実際に取り組むことができるインバウンド対策の方法は以下のとおりです。

  • Googleマップ対策と口コミ管理
  • SNSを活用した海外への情報発信
  • キャッシュレス決済の対応
  • 無料Wi-Fiの整備
  • 食文化や宗教への配慮
  • メニュー・店内表記の多言語対応
  • セルフオーダーの活用

詳しく解説していきます。

Google マップ対策と口コミ管理

訪日観光客の多くが飲食店選びに活用しているのがGoogle マップです。

位置情報と目的地までのナビゲーション機能も備えているため、土地勘のない訪日観光客にとって重宝されています。

また、店舗の外観写真や料理の写真、実際の利用者による評価や口コミが確認できるので、来店の判断材料として重要な役割を果たしています。

そのため、インバウンド対策ではGoogleマップの最適化と口コミの管理が大切です。例えば、営業時間や定休日、料理の写真など基本情報を常に最新の状態にしておきます。口コミに対しては、「Thank you for visiting!」といった簡単な返信をしておくだけも印象は大きく変わります。

実際に、小規模な店舗でも「スタッフが親切だった」「英語表記のメニューがあり注文しやすかった」といった好意的な口コミが集まることで、新たな観光客の来店につながっています。このように、インバウンド集客において、Google Mapの更新と口コミ管理を行うことで、訪日観光客からの支持を得やすくなるでしょう。

SNSを活用した海外への情報発信

訪日観光客の情報収集において、SNSは欠かせないツールです。

特にInstagramやTikTok、Xでは、視覚的な情報が即座に伝わるため、言葉の壁を超えて日本の飲食店の魅力を効果的に発信できます。

投稿内容は、以下のように、写真を中心としたシンプルな情報発信から始めるのがおすすめです。

  • 店舗の外観や内装の写真
  • 季節のメニューや人気メニューの写真
  • 料理の提供時の様子を撮影した短い動画
  • スタッフの笑顔や接客シーンの様子

投稿を通じて、訪日観光客は「この料理が食べてみたい」「この雰囲気のお店に行ってみたい」と具体的なイメージを持てます。

また、訪日観光客からのコメントやメッセージへの対応も重要です。

翻訳ツールを活用すれば、「ご来店ありがとうございました」や「またのご来店をお待ちしております」といった丁寧な返信も簡単にできます。このような小さなコミュニケーションが、店舗への信頼感を高め、実際の来店につながっていきます。

キャッシュレス決済の対応

訪日観光客にとって、キャッシュレス決済ができるかどうかは店舗選びの大きなポイントです。現金を持ち歩かないことが多い海外の方にとって、「カードが使えないお店」は選ばれにくくなります。

キャッシュレス対応には以下のような選択肢があります。

  • クレジットカード(VISA、Mastercard、American Express等)
  • スマートフォン決済(Apple Pay、Google Pay等)
  • QRコード決済(PayPay、WeChatPay、Alipay等)

まずは主要なクレジットカードに対応することから始めるのがおすすめです。その後、Apple Pay、Google Payといったスマホ決済を追加することで、より幅広い決済手段に対応できます。特にアジア圏からの観光客は、スマホ決済を日常的に使用していることが多いため、キャッシュレスへの対応が集客につながる可能性が高くなります。

キャッシュレスの導入には手間やコストがかかります。しかし、インバウンド対策を進めて売上につなげるには、キャッシュレス決済の導入は避けて通れない準備の一つといえるでしょう。

無料Wi-Fiの整備

訪日観光客にとって、無料Wi-Fiが使えるかどうかは店舗選びの重要なポイントです。旅行中はスマホで地図を見たり、写真をSNSにアップしたりする機会が多いため、Wi-Fiの有無は利便性に大きく影響します。

Wi-Fi環境があることで得られるメリットは以下の通りです。

  • 店舗の写真や料理をその場でSNSに投稿してもらえる
  • 「Wi-Fiが使える便利なお店」として口コミが広がる

現在は、手頃な料金で導入できるWi-Fiサービスが増えています。訪日観光客が快適に過ごせる環境を整えることは、店舗の評価を高める重要な要素となっているのです。

食文化や宗教への配慮

世界にはさまざまな宗教や思想があり、それぞれの信仰に基づいて食べられないものがあります。

例えば、イスラム教では豚肉やアルコールを避け、ヒンドゥー教では肉を食べない人が多いです。さらに、ベジタリアンやヴィーガンの方も増えており、動物性の食品を口にしない人もいます。

訪日観光客が安心して食事を楽しめるように、ハラール対応やベジタリアンメニューを用意しておくことが大切です。「〇〇は使っていません」とメニューに一言添えるだけでも、訪日観光客にとっては安心感につながります。

宗教や信仰に基づく食事制限への対応は難しそうに思えるかもしれません。しかし、「野菜だけのカレー」や「肉を使わない麺料理」を加えるだけでも、メニューを選びやすくなります。

訪日観光客が増える中で、多様な価値観に配慮した店舗は「ここなら安心して食べられる」と選ばれることが多くなっています。

宗教 食べられない食材
イスラム教 豚や豚由来のもの。アルコール。イスラム教で許されていない食肉や血液
ヒンドゥー教 肉・魚介類・卵・生もの・にんにく・らっきょう・ニラなどの匂いの強い野菜
ユダヤ教 豚・馬・ヒレやウロコを持たない魚介類(たこやいかなど)

メニュー・店内表記の多言語対応

インバウンド対策について外国語での接客に不安を感じる飲食店も多いかもしれません。

しかし、スタッフが外国語で接客できなくても、メニューに外国語の表記を追加するだけでも対応は可能です。

メニューの多言語対応では、英語であれば「Sushi(寿司)」「Ramen(ラーメン)」といった表記を追加して、料理の写真を一緒に載せるだけでも訪日観光客は安心して注文できます。

さらに、「Vegetarian option available(ベジタリアン対応可)」など一言添えておくと、より多くの観光客に対応できます。

店内の表示も、「Order Here(注文はこちら)」「Restroom(お手洗い)」といったシンプルな英語を加えるだけで、利用しやすくなります。

このように、できるところから少しずつ多言語対応を進めることが、訪日観光客にとって入りやすく、利用しやすい店舗づくりにつながります。

セルフオーダーの活用

外国語での注文対応は、飲食店にとって大きなハードルです。そんなときに便利なのが、タブレットやスマートフォンで注文できるセルフオーダーです。

セルフオーダーでは、事前に英語や中国語、韓国語などを設定しておけば、スタッフが直接説明しなくてもお客様自身で使用する言語を切り替えて注文できます。

また、QRコードオーダーは、お客様自身のスマートフォンからの注文が可能です。

使い慣れた端末で操作できれば、端末の操作方法や注文方法に関する問い合わせが減るため、外国語での接客に不安を感じるスタッフにとって大きな助けとなります。

スマセル

インバウンド対策の失敗を防ぐ3つのポイント

訪日観光客を迎える際に起こりやすいトラブルや、失敗しないための工夫について3つご紹介します。

  • マナーの違いで起きるトラブルの対応
  • 常連客を失わないための配慮と工夫
  • 観光客の増減に合わせた体制づくり

詳しく解説していきます。

マナーの違いで起きるトラブルの対応

外国では、食事マナーは国や地域によって異なります。例えば、日本では当たり前になっているお茶碗を手に持って食べることや、麺をすすって食べる習慣がない国も多く、観光客は戸惑うこともあります。

こうした違いからトラブルを防ぐには、事前のちょっとした案内が効果的です。

例えば、メニューに「How to eat(お召し上がり方)」といった食事マナーの説明を英語で加えたり、分かりやすいイラストを表示したりするだけでも、誤解を避けられます。

各国のマナーについて一部ご紹介します。

日本
  • 「いただきます」と「ごちそうさまでした」の挨拶
  • お茶碗やお椀は手で持って食べる
  • 箸は正しく扱い、NG行為多々(直箸は避ける、迷い箸など)
  • 食器の配置ルールがある
  • 食器は丁寧に扱い音を立てない
  • 麺類はすすって食べても問題なし
  • 残さず食べるのが理想
アメリカ
  • 食材を切った後ナイフとフォークを持ち替えて食べる
  • 食事中はナイフとフォークを八の字に置き、食後は3時方向に
  • お皿は持たない
  • パスタはフォークだけで巻いて食べる
  • スープは音を立てずに手前から奥にすくって飲む
  • 店員は視線と軽い挙手で呼ぶ(大きな声で呼ばない)
イギリス
  • フォークを右手に持ち替えず、フォークの背で食べる
  • 食事中は八の字に置き、食後は4時または6時方向
  • 正式な場では左手フォーク、右手ナイフを終始保持
  • カジュアルな場では持ち替えも可
中国
  • 直箸で料理を取り分けても問題なし
  • 食事中は箸を縦、食後は横に置く
  • 大皿は持たないが、お茶碗は手で持つ
  • 少し残すことで満腹の意思表示
韓国
  • ご飯はスプーン、おかずは箸を使う
  • 金属製の食器で、お茶碗は持たない
  • 食事中の咀嚼音は美味しさの表現とされ印象が良い
インド
  • 右手で食べ、左手は不浄とされ使用しない(イスラム教も同様)
  • 口をつけたものは不浄とされ、シェアはしない
  • 食べ残しはかなり失礼とされる

常連客を失わないための配慮と工夫

インバウンド対策を進める中で、訪日観光客が増えた結果、常連のお客様が減ってしまうのは避けたいところです。しかし、いつも通ってくれているお客様が、訪日観光客ばかりが優遇されていると感じてしまうと、足が遠のいてしまうこともあります。

このような問題を避けるには、常連のお客様へのちょっとした気配りが必要です。

例えば「ピークタイムには常連のお客様用の席を確保する」「店舗の外観や内装の雰囲気や接客の質を変えない」といった対策が効果的です。

インバウンド対策で忙しくなっても、常連のお客様へのサービスが変わらなければ、安心して通い続けてもらえます。訪日観光客を増やすことも大切ですが、いつも来てくれるお客様を大切にすることが、結果的に安定した経営につながります。

観光客の増減に合わせた体制づくり

インバウンド需要は、観光シーズンやイベントで大きく変わります。代表的なのが中国の旧正月にあたる春節です。中国では最大の連休となるため観光客が急増しますが、オフシーズンになると一気に客足が減ることもあります。

そのため、繁忙期と閑散期の差が大きいインバウンド需要に合わせて、店舗の体制を整えることが重要です。

例えば、観光客が増える時期は、スタッフの増員や効率的なシフト配置を行い、メニューを減らして提供時間を短縮します。また、多言語対応スタッフを重点的に配置するなど、慌ただしい状況でも無理なく回すための工夫が必要です。

反対に、観光客が少ない時期は、SNSで店舗の情報を発信したり、近隣のホテルや観光施設と連携したり、常連客向けの特別プランを用意したりして、来店のきっかけを作ることが重要です。

このように、繁忙期と閑散期それぞれに合わせた対策を準備しておくことで、安定した経営が可能になります。訪日観光客の増減は避けられませんが、事前に体制を整えておけば、スタッフの負担を減らしながら、効率的な運営ができます。

「スマセル」の導入でインバウンド対策を強化

「スマセル」は、お客様のスマートフォンやタブレットから注文や決済ができる飲食店向けのセルフオーダーシステムです。多言語メニューやキャッシュレス決済などに対応するため、インバウンド対策を強化できます。その具体的な活用方法を紹介します。

セルフオーダー方式で外国語対応の悩みを解消

スマセルは、観光客が自分のスマホでメニューを見て、そのまま注文できるので、使い慣れた端末で安心して注文できます。

メニューの言語切り替えも簡単なので、外国語が話せないスタッフでも接客できるのが特徴です。

訪日観光客が注文をする際、「伝わらなかったらどうしよう」という不安もなく、注文ミスや言葉の行き違いもなくなります。スタッフも「外国語が苦手で不安…」と感じることなく、接客に集中できます。

言語制限なしの多言語対応で世界中の観光客に対応

スマセルは、ボタン1つでメニューを外国語に切り替えられるので、観光客も迷わず注文できます。対応言語は英語や中国語、韓国語はもちろん、フランス語やスペイン語など、店舗の希望に応じて追加できるのが特徴です。

以前は「この言語には対応できません」と断らざるを得なかったお客様にも、スマセルならお客様が画面上で希望の言語を選ぶだけで、メニューが切り替わるので、言葉の壁を感じさせません。対応言語を増やせば増やすほど、これまで取りこぼしていたお客様にも対応できるようになり、インバウンド集客の可能性が広がります。

POSレジとの連携で会計業務を効率化

スマセルはPOSレジと連携しているので、注文内容が自動で会計に反映され、手入力の手間やミスが大幅に減ります。繁忙期でも、注文から会計までスムーズに進むので、スタッフもお客様も待ち時間のストレスが少なくなります。

さらに、PAYGATE Stationと連携すれば、VISA・Mastercardなどのクレジットカードや、PayPay・WeChatPay・Alipayなどの電子マネー、QRコード決済まで、幅広い決済方法に対応できます。現金を使わない観光客が増える中、多様な決済手段を用意できることは、機会損失を防ぐ重要なポイントとなっています。

スマセルを導入することで、人手を減らしても注文や会計がスムーズに回り、スタッフの採用や教育にかかるコストを抑えることができます。また、リピーター獲得に効果的なポイント機能やクーポン発行も簡単に設定できるため、訪日観光客の再来店促進にも活用できます。

まとめ

インバウンド需要が高まる中で、飲食店が訪日観光客を取り込むには、時代に合った対応が必要不可欠です。GoogleマップやSNSでの情報発信、多言語メニューやキャッシュレス決済の導入、そしてセルフオーダーシステム「スマセル」などを一つずつ取り入れるだけで、集客力は確実に変わってきます。

特に、スマセルはお客様のスマホや店舗のタブレットで簡単に注文でき、言葉の壁をなくしてくれるだけでなく、会計や決済の効率化、リピーター対策にもつながります。

インバウンド対策は難しそうに思えるかもしれませんが、できることから一歩ずつ始めてみることが大切です。メニューに英語表記を加えたり、SNSで店舗の魅力を発信するなど、今日からでも始められることはたくさんあります。

少しずつ積み重ねていくことで、海外からのお客様にも「また来たい」と思ってもらえる店舗づくりを目指しましょう。

初期費用無料で飲食店経営をDX化!業務にかかる負荷を0へ

スマセル
お客さまのスマホで好きな料理や飲み物を簡単注文!注文の取りこぼしやオーダーミスを防ぎ顧客満足度を向上させます。多言語対応やLINE連携など豊富な機能で飲食店経営のDX化を実現。

関連記事

特集記事

TOP