飲食店での時間が心地よく感じられるかどうかは、料理だけで決まるわけではありません。
席に案内される際の雰囲気や、注文のしやすさ、スタッフのちょっとした気づかいなど、細かな場面も印象に残ります。
株式会社オールトゥデイの調査では、飲食店を利用した人のうち72.1%が不快な思いをしたことがあると回答しています。
参考:「リピートしない店の特徴」に関する調査|株式会社オールトゥデイ
お客さまから支持されているお店の多くは、特別なサービスを提供しているというよりも、基本的な利用のしやすさが徹底されています。
スタッフの声かけや注文の導線などがスムーズで、お客さまが自然体で過ごせるような雰囲気が作られているのです。
ここでは、お客さまが「嬉しい」と感じた具体的なポイントを取り上げながら、飲食店で取り入れやすいサービスの工夫を分かりやすく紹介します。
お客さまが飲食店で「嬉しかった」と感じたサービス

飲食店でお客さまが実際に「嬉しかった」と感じたポイントを5つ紹介します。
- 店側がお客さまの状況や利用シーンを理解してくれた
- 注文から会計までストレスがなかった
- ちょっとした声かけや一言に気づかいを感じた
- メニューや料金について事前に納得できる説明があった
- お客さまのタイミングに合わせて利用できた
それぞれ詳しく解説していきます。
店側がお客さまの状況や利用シーンを理解してくれた
お客さまは、自分の状況に合った席や対応を提案してくれる飲食店に、好感を持ちます。
たとえば、店内に席の余裕がある場合は、隣の席を少し空けて案内するだけでも、「落ち着いて過ごせる」という満足感につながります。特に、静かに食事したい人やカップルにとって、周囲との適度な距離感があると、居心地がいいと感じてもらいやすいです。
また、子ども連れや年配のお客さまには、動きやすい通路側や荷物を置ける広めの席を用意すると、安心して利用してもらいやすくなります。小さな心づかいですが、こうした配慮は「歓迎されている」という印象を自然に生みます。
さらに、「お好きな席をどうぞ」と声をかけてもらえると、好きな席を選べるため、お客さまにとって嬉しいポイントになります。席の位置は料理の質と同じくらい、満足度を左右することがあります。
注文から会計までストレスがなかった
注文から会計までストレスなく過ごせるかどうかは、食事の満足度に大きく影響します。呼んでも気づいてもらえなかったり、会計で長く待たされたりすると、どれほど料理がおいしくても落ち着かない時間になってしまいます。
株式会社リクルートの「ホットペッパーグルメ外食総研」が行った調査でも、人によるサービスでなくてもよいと感じる場面として「注文」が71.3%、「会計」が65.1%と、いずれも高い割合を占めていることが示されています。さらに、その理由として最も多かったのは、「いちいち人を呼ぶのが面倒で、気が引けることもある」(42.6%)であり、多くの人が「呼ぶストレス」を抱えている実態が明らかになりました。
参考:外食する際に「人によるサービス」へのこだわり度合いを調査|株式会社リクルート
こうした背景もあり、席に呼び出しボタンがあるだけでお客さまに安心感が生まれます。また、導入が難しい場合でも、メニューを見ながら周囲を見回すなどの細かなサインに気づくことで、自然なタイミングで声をかけることができます。セルフオーダーやテーブルオーダーの導入は、忙しい時間帯でも注文待ちを減らし、スタッフとお客さま双方の負担を軽くします。
ちょっとした声かけや一言に気づかいを感じた
お客さまは、さりげないひと言や小さな気づかいによって、安心して過ごすことができます。料理を運ぶときに「熱いのでお気をつけください」と添えたり、雨の日に傘の置き場所を案内したりといった自然な配慮は、過ごしやすい雰囲気を作ります。
また、グラスが空いているのに気づいたときに声をかけたり、お客さまが会話に集中している様子なら無理に近づかないなど、相手のペースに合わせた対応も好印象につながります。大げさなサービスではなく、このような日常のひと手間が「また来たい」と感じる理由になります。
メニューや料金について事前に納得できる説明があった
初めて来店するお客さまは、メニューの選び方や料金が分からないと不安に感じます。料理の特徴や料金の仕組みを最初に少しだけ説明してもらえると、安心して注文できるようになります。
株式会社MS&Consultingの調査では、おすすめメニューの声かけがあると、お客さまの「また来たい」という気持ちが大きく変わることが分かっています。
参考:飲食店に対して行った顧客満足度調査|株式会社MS&Consulting
- おすすめメニューの声かけあり:59.1%
- おすすめメニューの声かけなし:30.6%
つまり、料理を紹介するだけでリピートの可能性が高くなるということです。ただ、「これがおすすめです」と商品名だけを伝えると、お客さまはどう良いのか分からず、迷ってしまうことが多いようです。
一方で、「期間限定メニューです」「当店の人気メニューです」など、短くても理由が添えられれば、お客さまは安心して選ぶことができます。セット料金や追加料金がかかる場合も、先に説明があるだけで納得して利用できます。
お客さまのタイミングに合わせて利用できた
飲食店では、料理や接客と同じくらい「声をかけるタイミング」が大切です。
お客さまが話に集中している時に何度も近づくと落ち着いて過ごしにくくなり、反対に、呼びたいときにスタッフが見つからないと、不便に感じてしまいます。お客さまの様子を少し気にかけておくだけで、店内の過ごしやすさは大きく変わります。
たとえば、テーブルを見ながら軽く周りを確認しているような様子があれば、注文や追加がしたい合図かもしれません。
会話に集中していると感じるときは、急いで声をかけず、ほどよい距離を保つことで、快適に過ごしやすくなります。お客さまのペースを大切にした関わり方が、「ゆっくりできた」「気を使わずに過ごせた」という満足につながります。
嬉しいサービスは「増やす」より「整える」が大切

飲食店のサービスを良くしたいと思うと、新しいことを増やしたくなりますが、実はそれよりも今のサービスを改善することのほうが効果的な場合があります。
ポイントは、お客さまの小さなストレスや動きに気づくことです。
サービスの増加は満足度を下げることもある
お客さまにもっと喜んでもらいたいという気持ちから、新しいサービスをどんどん増やしたくなることがあります。
しかし、サービスが増えるほどスタッフの業務が追いつかなくなり、思ったように提供できない場面も増えてしまいます。その結果、お客さまは「なんとなく落ち着かない」「前よりサービスが雑に感じる」と受け取りやすくなります。
リクルートの外食総研が行った調査では、多くの人が「人によるサービス」に魅力を感じていることが分かっています。その理由は以下のとおりです。
- 温かみを感じられる(46.3%)
- おもてなしがあると高級感を味わえる(37.7%)
- 人のサポートにも価値を感じる(29.2%)
参考:外食する際に「人によるサービス」へのこだわり度合いを調査|株式会社リクルート
つまり、お客さまが求めているのは「たくさんのサービス」ではなく、「丁寧さ」や「温かさ」を感じられる接客なのです。
一方で、サービスをむやみに増やすと、その丁寧さが保てなくなることがあります。
たとえば、以下のようなことが起こりやすくなります。
- 追加で無料サービスを始めたけれど、忙しい日は提供しきれない
- 声かけを増やした結果、「落ち着けない」と感じるお客さまが出てしまう
- スタッフがやることが増え、基本の接客が雑に見えてしまう
サービスは「多いほど良い」わけではなく、店の状況に合っていないと満足度が下がる原因にもなるため、まずは無理なく続けられる範囲で整えることが大切です。
不満点の改善を優先する
飲食店のサービスを良くするには、まず「お客さまが不満を感じやすい部分」をしっかり整えることが大切です。新しいサービスを増やすよりも、小さなストレスをなくすほうが、満足度が大きく向上します。
不満として出やすいポイントは、どの店でも共通していることが多く、次のような例がよく見られます。
- 注文したいのにスタッフが気づかない
- 料理の提供に時間がかかりすぎる
- 席が寒い・暑いなど、環境が合わない
- 周りの音が気になる
これらは大掛かりな設備を入れなくても、スタッフの声かけや動線の工夫だけで改善しやすい点です。少し気にかけるだけで「だいぶ過ごしやすくなった」と感じてもらえることが多くあります。
また、お客さまが困っているサインは、必ずしも大きな声で示されるとは限りません。メニューを閉じたまま迷っているような表情や、席の位置を気にしている様子など、小さなしぐさに気づけると、すぐに手助けできるようになります。
不満を感じやすいポイントを先に整える
お客さまが不満を感じやすい「注文のしやすさ」「待ち時間」「会計の流れ」など、日常のオペレーションに関わる部分は、少しの工夫で大きく改善できるポイントです。
たとえば、混雑する時間帯は提供が遅くなりやすいため、ピークのときだけメニューを絞ったり、スタッフの動く順番を決めて抜け漏れを減らしたりする方法があります。忙しい時間ほど、オペレーションを整えておくことで店内の雰囲気が落ち着き、お客さまも安心して過ごせます。
また、会計が集中して行列ができやすい時間帯には、キャッシュレス決済を案内したり、スタッフ同士で役割を分担して混雑を抑えたりすることで、よりスムーズな流れを作ることができます。
店舗運営の負担にならない内容にする
良いサービスを続けていくためには、スタッフにとって無理がないことがとても大切です。
どれだけ良いアイデアでも、忙しい時間帯に実行できなかったり、人手が足りず対応できなかったりすると、サービスの質は安定しません。その結果、お客さまの満足度も不安定になってしまいます。
たとえば、常に丁寧な声かけをするサービスは魅力的ですが、少人数でまわしている店では負担が大きく、忙しい時間帯には継続が難しいことがあります。
一方で、席の配置を変えて動きやすくする、呼び出しボタンを設置する、セルフオーダーを取り入れるなど、スタッフの手が回りやすくなる仕組みがあれば、長く安定して続けられます。

お客さまにとって嬉しいサービスを定着させる4つのポイント

お客さまにとって嬉しいサービスを定着させる4つのポイントについて解説します。
- 忙しい時間帯でも対応が変わらないようにする
- スタッフごとの対応のばらつきを減らす
- 現場の負担を定期的に見直す
- お客さまの反応をもとに取捨選択する
忙しい時間帯でも対応が変わらないようにする
飲食店では、混雑しているときほど、そのお店の印象が決まりやすくなります。
ランチのピークやディナーの混雑時に対応が雑になってしまうと、どれだけ普段のサービスが良くても不満につながりやすくなります。
忙しい時間帯でも一定のサービスを保つためには、あらかじめ「最低限やること」を決めておくことが大切です。
たとえば、料理を運ぶ時のひと言、注文の確認方法、テーブルを見るタイミングなど、誰が担当しても同じレベルでできる動きをそろえておくと、混雑時でもサービスが落ちにくくなります。
スタッフごとの対応のばらつきを減らす
飲食店でよくあるのが、スタッフによって声かけの仕方や丁寧さに差が出てしまうことです。お客さまは「誰に当たるか」で印象が変わってしまうため、ばらつきをできるだけ少なくすることが大切です。
そのためには、難しいマニュアルではなく簡単なルールを用意する方法があります。たとえば、席に案内するときの基本の言葉、提供時のひと言、気づかいを示すタイミングなど、ほんの少しそろえるだけで安定したサービスにつながります。新人スタッフでも取り組みやすく、現場の負担を大きくしない方法です。
現場の負担を定期的に見直す
サービスを良くするための工夫が増えてくると、気づかないうちにスタッフの負担が重くなっていることがあります。そのまま続けてしまうと、忙しいときにスタッフの疲れが出て、サービスの質が落ちてしまう原因になります。
定期的に「これは今も必要なサービスか」「もっと簡単にできる方法はないか」を見直すことで、スタッフも気持ちに余裕を持って働くことができます。余裕がある接客はお客さまにも自然と伝わり、店全体の雰囲気をより良くします。
お客さまの反応をもとに取捨選択する
お客さまの反応を見ながらサービスを調整していくことは、飲食店にとってとても大切です。ただ、気をつけたいのは「不満を持ったお客さまの多くは、それを言葉にしない」という点です。
株式会社オールトゥデイの調査では、飲食店を利用して不快な思いをした人の割合について、次のような結果が出ています。
| 調査項目 | 回答結果 |
|---|---|
| 不快な思いをしたことがある人の割合 | 72.1% |
| 不快な経験を口コミ・SNSに投稿しなかった | 78.6% |
| 店に直接苦情を言わなかった | 71.1% |
| 苦情を言わなかった理由(最多) | 時間を使うのが面倒だった:69.4% |
この調査が示しているのは、不満があっても多くのお客さまは黙って離れてしまうということです。だからこそ、表情の変化やメニューを閉じて迷っている様子など、小さなしぐさに気づくことが大切です。
口コミだけに頼らず、日常の接客の中でヒントを見つけることで、続けるサービスと見直すサービスを判断しやすくなります。
嬉しいサービスの提供を支えるスマセル

忙しい時間帯の飲食店では、どうしても注文が重なったり会計が混み合ったりして、お客さまが待つ時間が長くなりがちです。
こうした小さなストレスを減らすための仕組みとして役立つのがスマセルです。セルフオーダーを使うことで、店員を呼ぶタイミングに迷うことなく、お客さまが自分のペースで注文できます。聞き間違いや取りこぼしも少なくなるため、忙しい時間でも料理の提供が乱れにくくなります。
また、同じ商品をもう一度頼みたい時は、おかわり機能を使えばすぐに注文できるため、食事の流れを止めずに楽しんでもらえます。おすすめメニューが分かりやすく表示されるので、初めて来た人でも注文しやすく、店舗用のタブレットを用意すればスマホを持っていない方にも対応できます。
さらに、スマセルはPOSシステムと連携できるため、会計が早く済み、レジ前の混雑を抑える効果が期待できます。スタッフの作業もシンプルになり、接客に使える時間が増えることで、丁寧な声かけや気づかいがしやすくなります。
注文・提供・会計の流れが整うことで、特別なサービスを増やさなくても、お客さまが落ち着いて過ごせる環境づくりにつながります。
まとめ
飲食店で「嬉しい」と感じられるサービスは、特別な工夫を凝らすよりも、日頃の接客を少し改善するだけで実現できます。席の案内や声かけの間合い、注文や会計のスムーズさなど、小さな工夫がそろうだけで、お客さまは落ち着いて食事を楽しめます。
また、不満を口にせず店を離れる方が多いことから、口コミだけで判断せず、お客さまの表情やしぐさに目を向けることが大切です。ほんの小さなサインを拾えるだけで、改善すべきポイントが見えてきます。
さらに、忙しい時間帯でもサービスの質を保つには、スタッフの負担が大きくならない仕組みが欠かせません。注文や会計の流れが整うと、お客さまが自分のペースで過ごしやすくなり、スタッフも丁寧な接客に集中できます。
飲食店の満足度は、気づかいと安定した運営の積み重ねで高まります。今日から無理なくできる工夫をひとつ取り入れてみることで、「また来たい」と思ってもらえる店づくりにつながります。
