テーブルに設置されたQRコードをスマートフォンで読み取るだけで注文ができる「QRコード注文(QRオーダー)」が、いま飲食店で注目を集めています。
株式会社リクルートが2024年に実施した調査によれば、外食店でのセルフオーダー(QRコードやアプリを活用し、消費者が自身のスマートフォンで注文する方法)の利用経験率は57.1%にのぼることがわかりました。また、今後のセルフオーダーの利用意向について、全体の47.6%が「利用したい」と回答していることからも、利用者の関心が高いことがうかがえます。
参考:外食店利用時の注文ツールの利用実態・意向調査|株式会社リクルート
QRコード注文は、導入する店舗側にもメリットが多く、スタッフが接客や他の業務に注力できる環境を整えることにもつながります。しかし、導入を検討する際は、コストや運用面での課題も考慮する必要があるため、QRコード注文の仕組み、そして自店に最適なシステムの選び方を確認していきましょう。
QRコード注文(QRオーダー)の仕組みと使い方
QRコード注文は、お客様が自身のスマートフォンで直接注文できるシステムです。注文業務が効率化されることにより、スタッフの負担が軽減され、よりスムーズな接客が可能になります。
ここでは、QRコード注文の仕組みについて詳しく解説します。
お客様のスマートフォンで注文が完結
QRコード注文は、お客様がテーブルに用意されたQRコードをスマートフォンで読み取り、注文から決済までを行います。
スマートフォンでQRコードを読み取ると、専用のWebページが起動し、メニューが表示されます。Webサイトからメニューを選んだあとに注文を確定することで、注文情報が即座に店舗に送信される仕組みです。
注文した商品や合計金額はQRコードごとに管理されるため、スムーズな会計にもつながります。
QRコード注文とタブレットオーダーの違い
飲食店で導入されているお客様自身がオーダーするシステムには、QRコード注文とタブレットオーダーがあります。どちらも店員を介さずに注文ができる方法ですが、使い方や特徴が異なります。
QRコード注文は、お客様のスマートフォンで注文をしますが、タブレットオーダーは、テーブルに設置されたタブレット端末をお客様が操作し、注文を行います。
タブレットには、店員の呼び出し機能や注文金額の確認、追加注文の案内など、便利な機能が搭載されています。
スマートフォンを使わないため、機械の操作に不慣れな方や、お店が提供するデバイスで統一した注文をしたい場合に適しています。
飲食店でQRコード注文を導入する6つのメリット
飲食店でQRコード注文を導入するメリットには以下の6つがあります。
- オーダー業務の効率化による接客サービスの向上
- 混雑時における追加注文の機会損失を防止
- 効果的な商品訴求で客単価を改善
- 多言語対応で訪日観光客の注文をサポート
- メニュー管理の効率化とリアルタイム反映
- POSレジ連携による会計業務の効率化
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
オーダー業務の効率化による接客サービスの向上
飲食店では、「店員がなかなか来ない」「注文を聞きに来るのが遅い」「料理やドリンクの提供が遅い」といったお客様の不満が寄せられることが少なくありません。
反対に店舗側も、「注文を取りに行くだけで手いっぱい」「忙しくて接客に余裕がない」といった悩みを抱えているケースも多くみられます。
QRコード注文を導入すれば、お客様は自分のスマートフォンで好きなタイミングで注文できるため、オーダー待ちの時間がありません。スタッフも注文を取る手間がなくなり、料理や接客に集中できるため、提供スピードの向上やサービスの質の向上につながります。
また、注文データがそのままキッチンに送られるため、聞き間違いやミスが起きにくくなり、トラブルやクレームによる負担が軽減されます。
混雑時における追加注文の機会損失を防止
店内が混雑している状況では、お客様はスタッフに声をかけづらくなり、追加注文を諦めてしまうことがあります。せっかくの注文を逃がすのはお店としても大きな機会損失です。
また、注文待ちの時間が長くなると、お客様の滞在時間が長くなりお店の回転率が下がる原因になります。
しかし、QRコード注文なら、お客様は好きなタイミングで追加注文ができるので、注文待ちのストレスがありません。スタッフも注文対応に追われる時間が減少し、料理の提供に集中できます。お客様の待ち時間が短縮され、料理の提供スピードが向上することで、店舗の回転率を高められます。
効果的な商品訴求で客単価を改善
飲食店において、紙のメニューはスペースの問題から全ての料理に写真を掲載することが難しい状況です。写真の無いメニューはお客様が内容を把握しづらく、注文をためらうことがあります。
しかし、QRコード注文では注文ページに紙のメニューよりも多くの画像を掲載できるため、お客様により分かりやすく訴求できます。
また、QRコード注文では、メインメニューを選んだ際に「おすすめの追加メニュー」や「一緒にいかがですか?」といった提案を表示できます。
例えば、ハンバーガーを選んだ場合、サイドメニューが一覧で表示される仕組みにすることで、追加注文の機会を作れます。お客様の満足度を高めながら、お店の売上アップにもつながるのがQRコード注文の特徴です。
多言語対応で訪日観光客の注文をサポート
昨今では、インバウンド需要により外国人旅行者が増加傾向にあります。そのため、飲食店では外国語対応が求められています。QRコード注文を導入すれば、お客様のスマートフォンの言語設定に合わせてメニューを表示可能です。
注文において、お客様と直接やりとりしなくても済むので、外国語が話せないスタッフであっても対応できます。また、外国語のメニューがあることで注文ミスを防げるだけでなく、「このお店なら安心して食事ができる」と感じてもらいやすくなります。訪日客が増えるこれからの時代、お店としても準備を整えておくことが大切です。
メニュー管理の効率化とリアルタイム反映
飲食店では、材料の仕入れ状況によって特定の料理が提供できないことがあります。そのままにするとクレームやトラブルにつながることがあるため、早急な対応が求められますが、メニューの修正やお客様への周知には手間がかかります。
しかし、QRコード注文であれば、システム上で情報を変更するだけです。変更はリアルタイムで反映されるため、変更から反映までの間に注文が入るというリスクはほとんどありません。特に、ランチ限定のメニューや、時間帯ごとの価格変更なども簡単に設定できるので、業務効率が向上します。
POSレジ連携による会計業務の効率化
QRコード注文をPOSレジと連携させることで、会計業務の手間を大幅に減らせます。お客様がスマートフォンから注文した内容がそのままレジに反映されるため、会計時の入力ミスを防ぎ、スムーズな精算が可能です。
また、売上のデータが自動的に記録されるため、店舗の運営状況をリアルタイムで把握しやすくなるのも大きなメリットです。メニューごとの売上状況や、時間ごとの混雑状況を分析することで、仕入れの調整や販売戦略の見直しにも役立ちます。
QRコード注文のデメリット・注意点
QRコード注文には多くのメリットがありますが、導入にあたってはいくつかの課題や注意点もあります。
- QRコードの読み取りやスマホ操作が苦手な方への対応
- スマートフォンの機種による動作の違い
- システム構築に伴う投資コスト
- システム不具合による注文トラブル
導入前に確認しておきましょう。
QRコードの読み取りやスマホ操作が苦手な人への対応
スマートフォンの操作に不慣れな人は、QRコードの読み取り方法がわからない、または画面操作に時間がかかるため、スムーズな注文ができず困ってしまうことがあります。
QRコード注文が難しいお客様にも安心してご利用いただくために、店舗側でのサポート体制を整えることが重要です。例えば、最初に「QRコードでの注文となっていますが、ご利用方法はわかりますか?」といった声かけをすることで、スムーズな注文のお手伝いができ、お客様に安心してご利用いただけます。
また、テーブルにQRコードの使い方を説明した案内の設置や、メニュー画面の操作方法をわかりやすく掲示することも効果的です。
QRコード注文が難しい人のために、従来の紙のメニューや口頭での注文も併用できる体制を整えることで、幅広い年齢層のお客様に快適に利用してもらえます。
スマートフォンの機種による動作の違い
QRコード注文は、お客様のスマートフォンでメニューを表示し、注文をする仕組みですが、機種やOSのバージョンによって動作が異なることがあります。特に、古いスマートフォンを使っている場合や、ブラウザの設定によっては、QRコードをスキャンしてもメニューが正常に表示されないことがあります。
例えば、ディスプレイの小さい機種ではメニューのボタンが押しにくかったり、一部の機種ではQRコードを読み取るカメラ機能が対応していないことも考えられます。また、セキュリティ設定が厳しくなっているスマートフォンでは、外部のウェブページにアクセスできないこともあるため注意が必要です。
このようなトラブルを防ぐには、なるべく多くの機種に対応したシステムを選ぶことが大切です。また、店内に「QRコードが読み取れない場合はスタッフまでお知らせください」と案内を掲示しておくと、お客様も安心して利用できます。
システム構築に伴う投資コスト
QRコード注文を導入する際には、システムの利用料や初期設定費用がかかります。
導入コストを抑える方法として、月額制のサービスを利用する、必要な機能だけを選んで導入する、無料のトライアル期間を活用するなどが挙げられます。また、すべての席でQRコード注文に統一するのではなく、一部のテーブルから試験的に導入するのも初期コストを抑えるために有効です。
システム不具合による注文トラブル
QRコード注文はシステムの不具合が発生すると、お客様が注文できなくなるリスクがあります。特に、インターネットの接続が不安定な場合や、サーバーの障害が発生した際には、QRコードを読み込んでもページが開かない、注文が送信されないといったトラブルが起こる可能性があります。
システム不具合の問題を防ぐためには、店舗のWi-Fi環境を整えて通信を安定させることが重要です。また、システムのアップデートや保守がしっかり行われているサービスを選ぶことで、トラブルのリスクを減らせます。
万が一システムが動かなくなった場合に備えて、紙のメニューや手書きの注文票を用意しておくと、すぐに対応ができるので安心です。トラブル時の対策をあらかじめ決めておくことで、スムーズに対応できます。
飲食店でQRコード注文を導入する手順
QRコード注文を導入することで、業務の効率化や顧客満足度の向上が期待できます。しかし、スムーズに運用するためには、導入前の準備が重要です。以下のとおりです。
- QRコード注文サービスの比較と選定
- 通信環境の確認とシステム設定
- メニュー情報の登録とPOSレジとの連携
- 運用テストとスタッフ研修
- お客様への導入告知と使い方の説明
それぞれの手順について確認しておきましょう。
QRコード注文サービスの比較と選定
QRコード注文は多くの企業がサービスを提供しており、機能が異なります。そのため、自店舗に合ったQRコード注文サービスを選ぶことが大切です。
QRコード注文には、注文のみを受け付けるシンプルなものから、POSレジやキャッシュレス決済と連携できるものまで、さまざまな種類があります。
また、費用体系も、初期費用が発生する代わりに月額料金を抑えられるサービスや初期費用を月額基本料金に含めたサービスなどがあり、選択肢は多様です。
無料トライアルを実施しているサービスもあるため、実際に操作して使いやすさを確認することをおすすめします。
通信環境の確認とシステム設定
QRコード注文はインターネットを利用するため、通信環境が不安定だと、注文が正しく送信されない、QRコードを読み取ってもページが開かないといったトラブルが発生する可能性があります。
導入前に、以下の点を確認しておくことが重要です。
- Wi-Fiの安定性:店内のどの席でも電波がしっかり届いているか、特に奥まった席や壁際での通信状況を確認する
- QRコードの読み取り精度:スマホのカメラでスムーズに読み取れるかどうか、実際に試してみる
- 対応機種・ブラウザの動作確認:スマートフォンの機種やOSによって、表示に不具合が出ないかをチェックする
- ピーク時の通信速度:ランチタイムやディナータイムなど混雑する時間帯でも、注文がスムーズに通るか、確認する
また、システムの設定も重要です。メニューの価格や注文可能時間、売り切れ時の自動表示など、細かいシステム上の設定を事前に確認しておくことでトラブルを防げます。
メニュー情報の登録とPOSレジとの連携
QRコード注文の導入後は、メニュー情報を登録します。紙のメニューと異なり、画像や説明文を充実させることで、お客様が選びやすくなるメリットがあります。特に、セットメニューやおすすめ商品は、見やすいレイアウトにしておくとよいでしょう。
また、POSレジとの連携を行うことで、注文データが自動で反映され、会計業務の手間を減らせます。
運用テストとスタッフ研修
QRコード注文の運用を開始する前に、実際にテストを行い、不具合がないかを確認することが重要です。特に、以下の点をチェックしましょう。
- QRコードの読み取りがスムーズにできるか
- 注文が正しく送信されるか
- お客様が迷わず操作できるか
また、スタッフ研修も大切なポイントです。QRコード注文の使い方や、トラブルが発生した際の対応方法を事前に共有しておくことで、スムーズに対応できます。
お客様への導入告知と使い方の説明
QRコード注文の運用を始める際は、お客様にも注文方法を周知することが大切です。例えば、テーブルにQRコードの使い方を簡単に説明した案内を設置したり、スタッフが最初に簡単な説明をすることで、スムーズな利用につながります。
また、「QRコード注文なら、注文がスムーズです」「混雑時でもすぐにオーダー可能です」といったメリットを伝えることで、お客様の利用率を高められます。
QRコード注文システム「スマセル」の強み
QRコード注文システムの中でも、「スマセル」は導入のしやすさとコストパフォーマンスの高さが特徴です。ここでは、スマセルの強みについて詳しくご紹介します。
端末購入不要で初期投資を最小化
スマセルは、専用端末を購入しなくても導入できるため、初期費用を抑えられるのが大きなメリットです。一般的なテーブルオーダーシステムのように、各テーブルにタブレットを設置する必要がないため、端末の台数を最小限に抑えられます。
また、スマセルはiPadやAndroid端末にも対応しており、幅広い端末で利用できるのも特徴です。
アプリ導入が不要な注文方式
スマセルは、アプリをダウンロードしなくても注文できるシステムです。お客様は、QRコードを読み込むだけで、すぐにメニューを開いて注文できます。
専用アプリのインストールが必要なシステムは、注文までに複数の操作が発生しますが、スマセルであれば、注文までの時間がかかりません。
初めて利用するお客様でも迷わず使えるので、スタッフが使い方を説明する手間も減らせます。さらに、誰でも簡単に注文できる環境を整えることで、お店の回転率アップにもつながります。
インバウンド需要に応える多言語対応
スマセルは、ボタン1つでメニューを外国語へ切り替えることができます。言語の上限がなく、韓国語・中国語・英語以外にも多くの言語に対応できるため、幅広い国籍の訪日観光客に快適な注文環境を提供できます。
外国語のメニューがあることで、言葉の壁を気にせず安心して注文できるのはもちろん、店員とのやり取りが不要になるため、スタッフの負担も軽減できます。訪日観光客が多いエリアの飲食店にとっては、こうした点がお店選びの決め手になるポイントにもなります。
また、注文時のミスを減らし、スムーズなオーダーが可能になることで、お客様の満足度向上にもつながります。これからインバウンド需要が増える中、多言語対応の注文システムは大きな強みです。
まとめ
QRコード注文を導入すると、飲食店の業務がスムーズになり、お客様の利便性も向上します。注文を取る手間が減ることで、スタッフは接客や料理の提供に集中しやすくなり、お客様も好きなタイミングで追加注文ができるので、機会損失を防ぐことにもつながります。
じっくりメニューを選べることで、ついでにもう一品頼もうという気持ちになりやすく、客単価の向上も期待できます。
また、スマセルでは、多くの言語に対応できるため、訪日観光客が安心して利用できる環境が整います。メニューの変更や品切れの情報もすぐに反映できるため、紙のメニューを差し替える手間がなくなり、お店側の管理も楽になります。
さらに、POSレジと連携すれば、注文データがそのまま会計システムに反映されるため、会計業務もスムーズになります。
これからの飲食業界でより良いサービスを提供するために、スマセルの導入をご検討ください。